電気契約と法律
電気の法律
- 電気事業法:「電気事業および電気工作物の保安の確保」について定められている法律。
電気事業法の各条項の詳細な規定として、電気事業法施工令(政令)、電気事業法施行規則(省令)などがある。 - 電気設備技術基準(電技):電気工作物の設計、工事および維持に関して遵守する基準。(省令)
電気設備技術基準の解釈(電技解釈)は、電技の技術的内容を具体的に規定したもので、義務(必ず必要)、勧告(義務的運用が基本、応用も認める)、推奨(おすすめ)に区分されている。 - 保安規定:電気工作物の安全を確保するため工事、維持及び運用について事業用電気工作物の設置者が作成するもので、経済産業大臣に届け出ることが義務づけられている。
電気事業と電気工作物
電気事業
- 小売電気事業:小売供給を行う事業。
- 一般送配電事業:自らが維持し、および運用する送電用および配電用の電気工作物によりその供給区域において託送供給および発電量調整供給を行う事業。
- 送電事業:自らが維持し、および運用する送電用の電気工作物により一般送配電事業者に振替供給を行う事業。
- 特定送配電事業:自らが維持し、および運用する送電用および配電用の電気工作物により特定の供給地点において小売供給または小売電気事業もしくは一般送配電事業の用に供するための電気に係る託送供給を行う事業。
- 発電事業:自らが維持し、および運用する発電用の電気工作物を用いて小売電気事業、一般送配電事業または特定送配電事業の用に供するための電気を発電する事業。
電気工作物
- 一般用電気工作物
600V以下(低圧)の電圧で受電する。小出力発電設備以外の発電設備が構内に無い。爆発性・引火性の物が設置されていない。構外への電線路が無い。
一般住宅や商店など。 - 事業用電気工作物
電気事業用電気工作物(電力会社の所有する設備)と自家用電気工作物に分類される。
自家用電気工作物は、高圧または特別高圧で受電する。構外にわたる電線路を有する。小出力発電設備に該当しない自家発電設備を有する。火薬類を製造する事業所。炭鉱に設置するもの。
工場、ビルなど。
小出力発電設備
電圧600V以下、出力の合計50kWの未満の発電用電気工作物で一般用電気工作物に該当する。構内に設置し、構内の負荷のみに電気を供給する。
- 太陽電池:50kW未満。
- 風力・水力:20kW未満。
- 内燃力・燃料電池・スターリングエンジン:10kW未満。
受電電圧(契約電力)と資格
法律上の区分
- 特別高圧:直流(7000V超)、交流(7000V超)
- 高圧:直流(750V超~7000V以下)、交流(600V超~7000V以下)
- 低圧:直流(750V以下)、交流(600V以下)
電気契約の区分
負荷設備の合成最大需要電力から、電力会社の供給約款に基づき契約電力を決める。
特別高圧に関しては電力会社によって、電圧プランが異なる。
実際の供給電圧に関しては、電気事業法によって100Vは101±6V、200Vは202V±20Vを超えない値と決められている。高圧6000Vは6600V、特別高圧2万Vは22000V、6万Vは66000V、14万Vは154000Vが送電される。

電気主任技術者の資格と範囲
事業用電気工作物の設置者は、電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、電気主任技術者を選任しなくてはならない。(電気事業法)
電気工作物の電圧によって必要な資格が決められている。
- 第一種電気主任技術者:すべての事業用電気工作物。
- 第二種電気主任技術者:17万V未満の事業用電気工作物。
- 第三種電気主任技術者:5万V未満の事業用電気工作物。(出力5000kW以上の発電所を除く)
一定の自家用電気工作物で、保安管理業務を委託する契約を電気管理技術者または電気保安法人と締結し、保安管理業務外部委託承認(経済産業大臣の承認)を受けた者については、電気主任技術者を選任しないことができる。外部委託可能な事業場は以下となる。
特別高圧以外で、水力・火力・太陽電池・風力で2000kW未満、それ以外で1000kW未満の発電所。特別高圧以外の需要設備、低圧の配電線路を管理する事業場。
電気工事士の資格と範囲
- 第一種電気工事士:自家用電気工作物500kW未満の需要設備。一般用電気工作物。
- 第二種電気工事士:一般用電気工作物。
- 認定電気工事従事者:自家用電気工作物500kW未満の需要設備。
- 特殊電気工事資格者(非常用予備発電装置):自家用電気工作物500kW未満の需要設備の非常用予備発電装置。
- 特殊電気工事資格者(ネオン):自家用電気工作物500kW未満の需要設備のネオン設備。
電気事業用電気工作物(配電線、送電線、発電所、変電所など)および、自家用電気工作物で500kW以上の設備(特高受電設備など)は、電気工事士法の範囲外で工事資格は不要である。(電気主任技術者の指揮のもとで工事を行う)
電気料金
電気料金は、契約容量で決まる基本料金と、使用電力量に応じて計算する従量料金、燃料調整費、再生可能エネルギー発電促進賦課金を加えた合計となる。
基本料金
契約電力[kW]×料金単価×(185ー力率)/100
契約電力は最大電力で、現場ではこれを超えないように監視することをデマンド管理と呼ぶ。
高圧・特別高圧の場合、力率85%を基準として改善したパーセント分が割引となる。逆に下回ると割増しになる。(電力会社の力率計算は、8~22時に行われる)
従量料金
使用電力量[kW・h]×料金単価
使用電力を抑えるには照明のLED化や、空調温度を1℃変えると約10%の増減ができる。
燃料調整費
使用電力量[kW・h]×燃料費調整単価
火力燃料の価格変動を反映させるため、毎月調整される料金。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
使用電力量[kW・h]×再エネ賦課金単価
再生可能エネルギーの買取りに要する費用をまかなうための料金。
電力量計
計量法第16条で電力料金のやり取りを行う電力量計は、日本電気計器検定所が行う検定に合格している「検定証印」又は指定製造事業者が行う自主検査に合格している証である「基準適合証印」が付されている特定計量器で、有効期間内のものでなけらばならない。
計器用変成器とともに使用する電力量計の場合、同じ検定番号が付されているものを使用すること。
子メーターとは、施設の設置者が入居テナント等への料金請求に使用する電力量計で、これについても上記の計量法の規定が適用される。
スマートメータは、需要家に設置する電力量計に通信機能や開閉機能をもたせ、電力会社と双方通信制御ができるようにしたものである。
有効期限は以下の通り。
・計器用変成器を使用しない単独計器:定格電流20A・60Aの場合、電子式10年、機械式7年。
・計器用変成器を使用する計器:定格電流5Aの場合、電子式7年、機械式5年。
計器用変成器を使用する電力量計の場合は、その変流比と変圧比より乗率が表示されているので、指示値に乗率を掛けて実際の電力量を算出する。
・取引用電力量計
電力会社が取り付け、電力料金算定の根拠となる積算電力量計。

①検針値/現在値
「検針」の表示は、計量確定日の値を表示している。
何もない表示は、現在の値を表示している。
②時刻表示
計量確定日/現在時刻
③表示時間帯の区分、④電力量の表示
全日有効電力量(ー):全日(24時間365日)使用電力量の累積値
※季節別時間帯別対応の電力量計の場合は下記が最初に表示される。
その他季昼間電力量(1):その他季昼間(10月1日〜6月30日の8時〜22時)使用電力量の累積値
夏季昼間電力量(2):夏季昼間(7月1日〜9月30日の8時〜13時、16時〜22時)使用電力量の累積値
夜間電力量(3):夜間(0時〜8時、22時〜24時)使用電力量の累積値
ピーク時間電力量(4):ピーク時間使用電力量の累積値
最大需要電力(dー):最大需要電力
昼間力測用電力量(P1):力率測定用の8時~22時までの有効電力量の累積値
昼間力測用無効電力量(P2):力率測定用の8時~22時までの無効電力量の累積値
⑤力率
力率:進み力率(または100%)の場合は、「FF」(forward factor)の表示となる。
受変電設備の容量
受変電設備の容量は、建築物内部の電気設備の負荷合計に利用率を乗じて求める。
需要電力の指標
全設備容量
各設備容量の合計。
(※力率のある場合は設備容量×力率)
最大需要電力
1つの設備の需要電力が最大となるときの電力値。
(※複数の設備の場合は合成最大需要電力を使用する)
合成最大需要電力
各設備の需要電力量を加算した時、全体の需要電力量が最大となる時間の需要電力量。
(※設備が1つの時は最大需要電力に等しい)
平均需要電力
各設備の需要電力の合計を時間で割ったもの。平均値。
(それぞれの設備の時間帯の使用量を加算し、合成したものを24時間で割る)
負荷率
最大電力に対する平均電力の比で、負荷率が高いほど設備が有効に使用されている。
負荷率[%]=平均需要電力[kW]/合成最大需要電力[kW]×100
需要率
設備容量に対する最大電力の比で、需要率が高いほど設備の稼働が多い状態である。
需要率[%]=合成最大需要電力[kW]/全設備容量[kW]×100
不等率
全体の最大電力に対する個々の設備の最大電力の比で、各設備の最大電力の使用時間の分散度を示す。
1以上の値となる。
不等率が高いほど最大電力を使用する時間が分散しているので、小さい設備容量で済む。
不等率=個々の最大需要電力の総和[kW]/合成最大需要電力[kW]
日電力量
1日に消費される総電力量。
日電力量[kW・h]=平均需要電力[kW]×24[h]
設備利用率
定格出力で発電できる発電量に対する実際に発電した発電量の比で、設備利用率が高いほど設備を有効利用できている。
設備利用率=実際の発電量[kW・h]/(定格出力[kW]×365×24)×100
分散型電源
分散型電源とは、需要地近傍に配置される小規模な電源の総称で、具体的には太陽光発電、風力発電、燃料電池、蓄電池設備などのことをいう。
電源設備は停電時の電力供給としても使用できるが、分散電源システムの場合、電力会社の電力供給だけに頼らず電力の安定供給を実現する形態を指す。
地域マイクログリッドとは、自然エネルギー発電を組み合わせ、地域の電力需要を満足する分散電源システムである。
分散型電源の系統連系
系統連系は、電力会社の電力系統に分散型電源設備を接続することをいう。
出力変動の大きな分散型電源を配電系統に連系させる場合、電力の需給バランスが崩れることによる周波数の変動や逆潮流による配電線電圧の上昇をまねくなどの問題が発生する可能性があるため、「電気設備技術基準」では技術的要件が定められている。
自立運転
分散型電源が、電力系統から解列された状態で、構内負荷にのみ電力を供給している状態。
単独運転
事故等によって電力系統と切り離された状態で、分散型電源だけで発電を継続し、本来停電しているはずの負荷に対しても有効電力を供給している状態。(解列される前の状態)
事故が発生しているにも関わらず、電力供給が続いている危険な状態である。従って分散型電源を系統から解列する必要がある。
逆潮流
分散型電源から、連係している電力系統へ逆流させる有効電力の流れ。
逆充電
単独運転状態で、連系している電力系統を電圧だけ加圧しているが、逆潮流の無い状態。
(有効電力の供給はしていない状態)
系統連系時の要件
連係系統や分散型電源の事故を波及させないため、分散型電源が単独運転状態になった場合には、速やかに解列する(系統から切り離す)必要がある。
発電機に単独運転検出装置の設置や、遮断器の遮断信号を通信回線で伝送して、別の構内の遮断器を動作させる転送遮断装置を使用する。
発電設備が連係することで、合計の短絡電流が増加して他の需要家の短絡容量を超える可能性があるため、限流リアクトルなどを設置して短絡電流を制限する必要がある。
分散型電源の運転・停止、逆潮流の発生によって配電線の電圧が変動する場合があるため、調相設備など電圧変動対策が必要となる。
「電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」では以下のように決められている。
- 力率は85%以上とし、系統側からみて進み力率とはならないこと。
- 連系時の電圧は、低圧は101±6V、202±20V以内に維持すること。
- 解列時の瞬時電圧低下は、低圧の場合と同様に常時電圧の10%以内とすること。
発電電力と使用電力
1日に設備が使用する時間ごとの電力の曲線を負荷特性曲線、需要家に分散型電源設備がある場合、1日の発電電力の時間ごとの曲線を、自社発電曲線としてグラフ化する。
両方のグラフを重ねて、はみ出ている部分の面積を不足分(電力会社から受電)と過剰分(電力会社へ逆送)として計算する。
三角形の面積の場合は比率の式より、交点の値を求める。
受電方式
1回線受電方式
受電する引き込み配電線が1本のみの方式。
停電が不可避である。
- 1回線専用受電:変電所から需要家専用のもの。
- 1回線分岐受電:複数の需要家で共有するもの。
本線・予備線受電方式
受電する引き込み配電線が、本線と予備線の2本ある方式。
予備線は故障時のバックアップでのみ使用する。短い停電時間で済む。
- 同系統:同一の変電所から2回線受電するもの。
- 異系統:2つの変電所から受電するもの。
ループ受電方式
各需要家同士で常時2回線をループで受電する方式。
片側1回線は別の需要家経由で受電している。
ループ内で事故が発生しても、事故区間が自動遮断され、停電を避けることができる。
「ループ方式」参照。
スポットネットワーク受電方式
変電所からの2~4回線を、各需要家がT分岐でネットワーク変圧器を通して受電する方式。
分岐はそれぞれ変圧器があり、需要家の母線に並列接続されており、1回線の機器が故障しても無停電で受電継続できる。
「スポットネットワーク方式」参照。
受電・配電設備
受変電設備とは、電力会社から送電された電力を受電し、所定の電圧に下げて建物内で利用できるようにする設備である。
区分開閉器
区分開閉器(責任分界点用)は、電力会社との責任分界点に設置されるもので、架空引込ではPAS、地中引込ではUGSが一般的に使用されている。
柱上気中負荷開閉器(PAS)
架空線による高圧受電の場合に需要家設備の最初の受電点(責任分界点)に設置する。(電柱や高所)
地絡継電装置付をGR付PASと呼んでいる。
短絡等の過電流を遮断する能力を有しないため、過電流ロック機能(SO動作)が必要である。
消弧および絶縁方法として空気を使用している。

地中線ガス負荷開閉器(UGS)
地中線による高圧受電の場合に需要家設備の最初の受電点(責任分界点)に設置する。
地絡継電装置付をGR付UGSと呼んでいる。
短絡等の過電流を遮断する能力を有しないため、過電流ロック機能(SO動作)が必要である。
消弧および絶縁方法としてSF6ガスを使用している。
SO動作(過電流蓄勢)
開閉器は短絡電流のような大きな電流は遮断することができない。
遮断できる電流値を上回るような電流時には、開閉器をロックして開閉器の損傷を防止する。
その後の電力会社側の配電線の遮断器動作後に、無充電状態で開閉器を自動開放して、電力会社側の再閉路による再送電に支障を及ぼさないようにする。
GR動作(地絡継電器)
構内での地絡事故時に、電力会社側の配電線の地絡継電器よりも早く動作して開閉器を開放し、配電線への波及事故を防止する。
供給用配電箱(高圧キャビネット)
電力会社が地中高圧受電を受ける受電点に設置する収容箱。
受電線、ケーブルヘッド、断路器、遮断器、避雷器、接地装置、保護装置で構成される。(変圧器は収容しない)
需要家の事故が配電線に波及しないように、地絡遮断機能付き負荷開閉器(GR付UGS)が責任分界点付近に設置される。
開閉器の一次端子側が責任分界点(電力会社と需要家の責任分担の境界線)となる。

ケーブルヘッド(CH)
高圧ケーブルを高圧機器や受変電設備と接続するため、端末処理を施した部分。
被覆を剥いだ高圧ケーブルに絶縁テープや半導電テープを巻いた構造となっており、分岐管を用いて二又または三又に分岐する。
耐電圧特性を低下させないように電位傾度の緩和のため、ストレスコーンの処理がされている。
- ゴムストレスコーン形:ゴムを使用してすっきりしている。屋内で使用される。
- ゴムとう管形:屋外の中程度の汚損が予想される箇所に使用される。
- 耐塩害形:塩分や重い汚損が予想される箇所に使用される。碍子のような部品が付いている。

ストレスコーン形


ガス絶縁開閉装置(GIS)
特別高圧の受電用統合開閉装置。
遮断器・断路器・母線電線路・避雷器・計器用変成器・作業用接地装置などを、絶縁性が高いSF6ガスが充てんされた単一の金属容器内に収めたもの。
SF6ガスは圧力が高いほど絶縁耐力が上がる為、圧縮して格納される。
充電部支持の絶縁物にはエポキシ樹脂が使用される。
金属容器が接地されるので感電の危険性が少なく、縮小化・省スペース化が可能で、密閉機器であり保守の省力化ができる。
ユニットで据え付けできるので工期が短縮できるが、密封されているため、内部事故時の復旧時間は長くなる。
大都市の地下変電所や、塩害対策の開閉装置として適している。

キュービクル
電力会社から高圧で受電するための機器および、低圧への変圧器、コンデンサ、その他の保護装置など、機器一式を接地された金属箱に収めた受配電用設備。
屋外に設置できる構造になっている。
開放形受電設備に比べて、設置に必要な面積や場所の制約が少なく、保守点検が容易である。安全性が高い。
PF・S形とCB形があり、受電設備容量はPF・S形で300kVA未満、300kVA以上4000kVA以下はCB形を使用する。
PF・S形
主遮断装置にPF(高圧限流ヒューズ)とLBS(高圧交流負荷開閉器)を組み合わせたもの。
遮断器や継電器を持たないので安価である。
CB形
主遮断装置にCB(遮断器)を使用し、短絡事故や地絡事故に対して保護継電器により遮断器を動作させるもの。

受変電設備の構成
高圧配電設備
高圧電力を系統に配電する。
高圧母線、断路器、遮断器、保護装置、接地装置で構成される。
高圧変電設備
受電した電力を低圧に変圧する。
変圧器、断路器、遮断器、保護継電器で構成される。
低圧配電盤
変圧器からの低圧電力を動力と電灯の負荷設備に供給する。
配線用遮断器、保護継電器、漏電遮断器で構成される。
スイッチギヤ・メタルクラッド
接地された金属閉鎖箱に高圧開閉装置と低圧制御装置を収めたもの。
(主回路母線、真空遮断器、計器用変流器、零相変流器、ケーブルなど)
メタルクラッドは、接地された金属仕切板によって、それぞれ区分されたコンパートメント内に各機器が配置されている。遮断器などの機器を外部に引き出すことができ、遮断器の搬入・搬出にはリフターを使用する。

直流電源装置
交流を整流器で直流に変換し蓄電池に充電して、受変電制御機器への直流電源や、停電時に直流で稼働する非常照明等へ電源を供給する装置。
非常電源切替盤
常用電源が停電した場合に、自動的に予備電源に切り替えられる装置。
シーケンス回路で構成され、常用側の遮断器が開放されないと、予備電源側の遮断器が投入されないようにインターロック回路になっている。
分岐盤
点検時などに受電系統を切り替える装置。
分岐盤内に2つの電源系統の遮断器があり、入力電源を切り替える。
無停電電源の場合は、2つの電源が一時的に同時投入(オーバーラップ)される時間があるため、2つの電源系統は、電圧・周波数・位相が一致した電源でなければならない。
UPS電源の系統切替では、UPSの出力を切り替え先のバイパス電源にして、位相を同じにしてから切替を行う。
分電盤
幹線と負荷を結ぶ中間にあり、配線用遮断器・漏電遮断器などのブレーカー、電力量計・電流計などの計器、リモコンリレーなどの制御装置を収容した箱で、負荷ごとに開閉器が付いている。
単相を接続した電灯分電盤、三相を接続した動力分電盤がある。
動力分電盤に、機器の発停の制御装置、機器の状態を監視する装置が付いているものを動力制御盤と呼ぶ。
分電盤の自主点検項目としては以下のものがある。
- 負荷電流が分岐ブレーカ容量の70%程度であること。
- ブレーカー端子部の温度上昇が無いこと。
- 動力盤の制御電源用トランスの本体温度上昇が無いこと。

高圧受電設備の実際
キュービクルの内部構成例(一部)

- GR付PAS:地絡継電装置付、高圧気中負荷開閉器
- VCT:電力需給用計器用変成器
- DS:断路器
- LA:避雷器
- VCB:真空遮断器
- LBS:高圧負荷開閉器
- ZCT:零相変流器
- SC:進相コンデンサ
- SR:直列リアクトル
高圧受電設備の単線結線図例

- GR付PAS:地絡継電装置付、高圧気中負荷開閉器
- ZCT:零相変流器
- ZPD:零相電圧検出装置
- DGR:地絡方向継電器
- OCR:過電流継電器
- CH:ケーブルヘッド
- VCT:電力需給用計器用変成器
- VT:計器用変圧器
- CT:計器用変流器
- Wh:取引用電力量計
- PF:限流ヒューズ
- VS:電圧計切替スイッチ
- AS:電流計切替スイッチ
- V:電圧計
- A:電流計
- W:電力計
- cosΦ:力率計
- VCB:真空遮断器
- DS:断路器
- LA:避雷器
- PC:高圧カットアウト
- LBS:高圧負荷開閉器
- SR:直列リアクトル
- SC:進相コンデンサ
- 斜線:線の数
- 変圧器:図記号横の「Δ3Δ」はΔーΔ結線の単相変圧器3つ、線が引き出されているのは中間点引出単相変圧器
Ver1.0.7