過電圧保護

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過電圧の種類

雷や送配電線事故で需要家の電気設備に過電圧(サージ電圧)が加わった場合に、電圧を低く抑える保護装置が設置されている。

内部過電圧

電線路の開閉操作等に伴う開閉サージ電圧と、地絡事故時等で発生する短時間交流過電圧のこと。
送電線路、変電所の絶縁は、内部過電圧に対して耐えられるように設計される。

外部過電圧

雷放電現象に起因するもの。
直撃雷とは、送配電線路に雷が直接落雷するもの。
直撃雷によるもののほかに、架空地線や鉄塔へ雷撃したものから電線へ逆フラッシオーバするものもある。
誘導雷とは、電線路の近くへの落雷や、送配電線路の上空の雷雲による静電誘導・電磁誘導によるもので最も多い。
架空送電線路の絶縁は、外部過電圧に対して必ずしも十分耐えられるとは限らない。発変電所においては避雷器の制限電圧によって決まる。

避雷器(LA)

サージ防護デバイス(SPD)、アレスタとも呼ばれる。
落雷時に侵入する雷サージや、負荷の開閉時に発生する開閉サージなどに起因する過電圧を、大地間の誘導路を使って放電し、電圧(波高値)を制限する。(制限電圧)
放電後は大地への続流(放電が終わった後も引き続き電流を流し続けてしまう現象)を遮断して、電圧をもとの状態に戻す。(続流遮断)
需要場所の引込口など、保護対象機器にできるだけ接近して取り付けると有効である。
避雷器の定格電圧は、公称電圧の1.4倍である。(6000Vなら8400V)
高圧用の避雷器にはA種接地工事を施す。避雷器用の接地端子は、他の接地端子と共用できない。
ギャップ付とギャップレスがあるが、発変電所ではギャップレス避雷器が主流である。

ギャップ付避雷器

内部の電路に、ギャップ(電極のすきま)を設けたもの。(直列ギャップとも言う)
通常の印加電圧では通電が起きず、異常な高電圧がかかった際にのみ電極間で絶縁破壊を起こすことで通電する。
従来のギャップ部分だけでなく、非線形抵抗特性を持つ酸化亜鉛素子(ZnO)と併用したものもある。
ギャップ部分の存在により、非線形抵抗特性部が故障しても送電の継続が可能である。

ギャップレス避雷器

通常時は絶縁体として機能し、異常電圧が印加された場合にのみ通電する非線形抵抗特性を持つ酸化亜鉛素子(ZnO)を用いる。
優れた続流遮断性能も持ち合わせている。

サージアブソーバ(サージ吸収器)

雷などのサージ電圧から電子機器を保護する部品。

サージ吸収回路

過電圧(サージ電圧)が発生した場合の波高値を低減して保護する。

  • 回転機器の前に並列に避雷器とコンデンサを接続して接地し、コンデンサでサージの高周波成分をバイパスしてサージを吸収する。
  • 遮断器と負荷の間に、コンデンサと抵抗を直列にしたものを負荷と並列に接続して、遮断器の開閉サージを抑制する。コンデンサは負荷側のインピーダンスを下げることでサージ電圧を下げ、抵抗は接点ON時の突入電流を抑制する。

バリスタ

2つの電極をもち、両端子間の電圧が低い場合には電気抵抗が高く、ある程度以上に電圧が高くなると急激に電気抵抗が低くなる性質を持つ電子部品。
集積回路等の部品を突発的なサージから保護するためのバイパスとして用いられる。

避雷針

建築物の落雷などによる引火防止には、避雷針を使用する。
避雷針は直接接地(常に接地)される。
高さ20mを超える建築物には、原則として有効に避雷設備を設置しなければならない。(建築基準法)


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