電線の種類
電線の種類
- 裸電線:導体に絶縁被覆をせずにそのまま使用するもの。
- 絶縁電線:銅などの導体に絶縁性の被覆を施したもの。
- ケーブル:絶縁電線に、さらにシース(保護外被覆)を施したもの。
- 多心形電線:絶縁物で被覆した導体を、1本の裸導体(鋼心アルミより線)の周囲に一定のピッチでらせん状に巻き付け、強度を上げた電線。(300V以下の低圧架空電線で使用する)
使用方法による定義
- 移動電線:電気使用場所に施設する電線のうち、造営物に固定しないものをいい、電球線及び電気機械器具内の電線を除く。
- 接触電線:電線に接触してしゅう動する集電装置を介して、移動起重機、オートクリーナその他の移動して使用する電気機械器具に電気の供給を行うための電線。
電線の太さ
- 単線:心線の直径で表示する。
- より線:素線の断面積で表示する。(1.6mmが7本の場合、π×(1.6/2)2×7=14mm2)
スケア(sq)は、電線の断面積(mm2)の単位のこと。より線で使用する。
電線の色
- 電圧相:赤、黒など
- 中性線:白、灰色
- 接地線:緑
電線の数え方
- 条:見かけ上の線の数。電線1条は電線1本。単心ケーブル1条は電線1本。3心ケーブル1条は電線3本。
- 心(芯):導体と絶縁体でできている電線部分。3心ケーブルは3本の電線がケーブル内にあるもの。
- 回線:配電を行う単位。三相交流の1回線は3本の電線となる。
銅線
軟銅線
引張強さは小さいが、伸びや可とう性に優れ、導電率が高い。
屋内配線や地中ケーブルなど、施工性が重視される場所に使用される。
硬銅線
導電率は軟銅線に比べ小さいが、引張強さや耐食性に優れる。
架空送電線路など、強度が重視される場所に使用される。
高圧の電線
屋外用ポリエチレン絶縁電線(OE)
絶縁体として、ポリエチレンを使用している。
高圧架空電線で使用される。
屋外用架橋ポリエチレン絶縁電線(OC)
絶縁体として、耐熱温度の高い架橋ポリエチレンを使用している。
架橋ポリエチレンはポリエチレンより電流容量を15%増加できる。
高圧架空電線で使用される。
鋼心アルミニウムより線(ACSR)
亜鉛めっき鋼より線の周りに硬アルミ線をより合わせたもの。
鋼は張力を補強し、アルミは軽量で導電率が高い。
利点:硬銅より線に比べて軽量である。コロナ対策に優れている。引張強さが大きい。
欠点:直径が大きくなる。接続工事が面倒である。軟らかく傷がつきやすい。
硬銅線の導電率は97%だが、硬アルミより線は64%である。銅よりアルミは導電率は低い。
多導体方式(1相に複数の電線を用いる)の高圧架空電線で使用する。
鋼心耐熱アルミ合金より線(TACSR)
耐熱性の高い耐熱アルミ合金を使用したもの。
許容電流が大きく、大容量送電線に用いる。
高圧引下用絶縁電線(PD)
絶縁体によって、架橋ポリエチレン(PDC)、EPゴム(PDP)、ポリエチレン(PDE)などの種類がある。
高圧引込線で使用される。(高圧架空電線から柱上変圧器の1次側に引き下げる電線)
高圧機器内配線用ゴム絶縁電線(KIP)
絶縁体として、EPゴム(エチレンプロピレンゴム)を使用している。
屋内高圧用電線。キュービクル受変電設備などの高圧機器配線して使用する。

OFケーブル(oil filled cable)
超高圧ケーブル。
絶縁体として、絶縁紙と絶縁油を組み合わせた油浸紙絶縁ケーブルで、油通路が設けられている。
低粘度の絶縁油をケーブル絶縁紙に含浸し、油圧を大気圧以上に保つことでボイド(気泡)の発生を防止する。
最高許容温度は80℃である。給油設備が必要で接続が困難だが、絶縁の厚さを薄くできる。
誘電率、誘電正接tanδがCVケーブルより大きい。
油圧を監視することで、ケーブルの欠陥や外傷を検知できる。
POFケーブルは、3心のOFケーブルである。
架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV)
耐熱性、対薬品性に優れている。軽量で取り扱いやすい。
架橋ポリエチレンは、ポリエチレン分子を網状に連結して補強し耐熱性を高めているので電流容量は大きい。
許容温度は90℃で短絡時は230℃まで耐えられる。
比誘電率が小さいので誘電体損や充電電流も小さい。
OFケーブルよりも誘電率、熱抵抗が小さいので、送電容量の点で有利である。
導体と絶縁体の間に半導電層を設けることで、電界が平均化され電位の傾きを均一にして部分放電を防いでいる。
低圧、高圧、特別高圧用の種類がある。


CVTケーブル
単心のCVケーブルを3本より合わせたもの。3本それぞれがシースに覆われている。
3心のCVケーブルは接続作業性が悪い為、CVTケーブルが用いられる。
CVケーブルに比べて熱放散が大きいので許容電流が大きくなる。
熱伸縮の吸収が容易で曲げやすいので、マンホールの寸法が小さくなる。
低圧、高圧、特別高圧用の種類がある。


低圧の電線
CV・CVTケーブル
「CVケーブル」「CVTケーブル」参照。
600Vビニル絶縁電線(IV)
軟銅線に塩化ビニル樹脂を被覆した電線。
許容温度60℃である。


600V二種ビニル絶縁電線(HIV)
IV線より耐熱の良い絶縁体を使用した電線。
許容温度75℃である。
600V耐熱性ポリエチレン絶縁電線(EM-IE)
耐燃性があり、燃焼時に有害なハロゲンガスの発生がなく、煙の発生の少ないポリエチレンを使用したエコマテリアル電線。
引込用ビニル絶縁電線(DV)
硬銅線に塩化ビニル樹脂を被覆した電線。2本または3本をより合わせている。
低圧回路用で一般家庭への引き込み用として使用する。

屋外用ビニル絶縁電線(OW)
硬銅線に塩化ビニル樹脂を被覆した電線。
IVに比べて被覆が薄い。
低圧架空電線で使用する。

ビニル外装ケーブル(VVR・VVF)
IV線を2~4本まとめ、さらにビニル被覆(シース)をしたもの。
丸形(VVR)は引込口、平形(VVF)は屋内配線に使用される。
丸形(VVR)は、ケーブルを丸くするために紙などの介在物が入っている。


600Vポリエチレン絶縁耐熱性ポリエチレンシースケーブル(EM-EEF)
耐燃性があり、燃焼時に有害なハロゲンガスの発生がなく、煙の発生の少ないポリエチレンを使用したエコマテリアルケーブル。
MIケーブル(MI)
外装が金属で、導体間に絶縁物の酸化マグネシウムなどを詰めた耐火配線。

キャブタイヤケーブル(CT)
移動用電線。
絶縁した導体をさらにゴムや塩化ビニルなどで覆ったたわみのある電線。
造営物に固定しないで、移動する電気機械器具などに使用する。

コード
電灯器具や小型電気器具を移動取付するもの。
細い軟銅線をより合わせている。
コードの許容電流は、0.75mm2で7A、1.25mm2で12Aである。

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