高圧・特別高圧の屋内配線工事
高圧の屋内配線の工事は、がいし引き工事(乾燥した場所であって展開した場所に限る)またはケーブル工事により施設する。(電技解釈第168条)
特別高圧の屋内配線は使用電圧が100kVのものまでに限り、ケーブル工事により施設する。(電技解釈第169条)
低圧の屋内配線工事
低圧屋内配線工事の可能な場所
電技解釈第156条「低圧屋内配線の施設場所による工事の種類」の図を以下に示す。

がいし引き工事

使用できる電線
絶縁電線。(屋外用ビニル絶縁電線OW、引込用ビニル絶縁電線DV、引込用ポリエチレン絶縁電線DEを除く)
施工の規定
- 電線相互の間隔は6cm以上。
- 電線と造営材との離隔距離は2.5cm以上。(使用電圧300V以下の場合)
- 電線を造営材の上面又は側面に沿って取り付ける場合の支持点間は2m以下。
- 使用電圧が300V以下の場合は簡易接触防護措置を施す、300Vを超える場合は接触防護措置を施す。
合成樹脂管工事

電線管の種類
- VE管:硬質管。
- CD管:可とう管、自己消火性なし。コンクリート埋め込み専用。
- PF管:可とう管、自己消火性あり。
使用できる電線
絶縁電線。(屋外用ビニル絶縁電線OWを除く)
より線、3.2mm以下の単線。
施工の規定
- 管の厚さは2mm以上とする。(展開された場所で、乾燥した場所に人の触れるおそれがないように施設する場合はこの限りではない)
- 管相互の接続は、外径の1.2倍以上差し込む。(接着剤を使用する場合は0.8倍以上)
- 支持点間は1.5m以下。
金属管工事

電線管の種類
管と電線の太さによって収納できる電線数が決まる。
- 薄鋼電線管:管の外径の奇数[mm]。
- 厚鋼電線管:管の内径の偶数[mm]。
- ねじなし電線管:管の外径の奇数[mm]。
使用できる電線
絶縁電線。(屋外用ビニル絶縁電線OWを除く)
より線、3.2mm以下の単線。
施工の規定
- 同一回路の電線はすべて同じ管内に収める。電磁的平衡。
- コンクリートに埋め込む場合は、管の厚さ1.2mm以上、それ以外は1mm以上とする。
- 曲げ部の内側半径が、管内径の6倍以上。
- 支持点間は2m以下。
- 接地工事の省略は、乾燥した場所4m以下、対地電圧が150V以下で8m以下で簡易接触防護措置を施すか、乾燥した場所。
金属可とう電線管工事

電線管の種類
- 1種金属製可とう管:乾燥した場所で使用する。(現在は使用されていない)
- 2種金属製可とう管:金属管で柔軟性を要する場所で使用される。(プリカチューブと呼ばれる)
使用できる電線
絶縁電線。(屋外用ビニル絶縁電線OWを除く)
より線、3.2mm以下の単線。
施工の規定
- 曲げ部の内側半径が、管内径の6倍以上。(点検が可能な場所は3倍以上)
- 接地工事の省略は、4m以下。
金属線ぴ工事

使用できる電線
絶縁電線。(屋外用ビニル絶縁電線OWを除く)
施工の規定
- 電線の接続点は、点検できる場所なら可能。
- 同一回路の電線はすべて同じ管内に収める。電磁的平衡。
- 接地工事の省略は、4m以下、対地電圧が150V以下で8m以下で簡易接触防護措置を施すか、乾燥した場所。
金属ダクト工事

使用できる電線
絶縁電線。(屋外用ビニル絶縁電線OWを除く)
施工の規定
- 電線の断面積は、ダクトの内部面積の20%以下。
- 電線の接続点は、点検できる場所なら可能。
- 終端部は閉塞する。
- 支持点間は3m以下。(垂直方向は6m以下)
- ダクトは、幅5cm超、厚さ1.2mm以上の鉄板であること。
- C種接地(300V超)・D種接地(300V以下)をする。
バスダクト工事


施工の規定
- 造営材に取り付ける場合は、支持点間は3m以下。(垂直方向は6m以下)
- C種接地(300V超)・D種接地(300V以下)をする。
ケーブル工事

施工の規定
- コンクリートに埋め込む場合は、MIケーブル・コンクリート直埋用ケーブルを使用する。
- 曲げ部の内側半径が、ケーブル外径の6倍以上。
- 造営材の下面又は側面に沿って取り付ける場合は、支持点間は2m以下。(垂直では6m以下、キャブタイヤケーブル1m以下)
ビニルキャブタイヤケーブルの施工
使用電圧が300V以下のものを、展開した場所、または点検できる隠ぺい場所に施設する場合に限る。
ケーブルラック

ケーブルラックとは、大量のケーブルを乗せて敷設するためのラック 。
支持間隔は、水平で鋼製では2m以下、その他材質では1.5m以下とする。垂直は3m以下(配線室では6m以下)とする。
配線は、水平で3m以下、垂直で1.5m以下の間隔ごとに固定する。
使用電圧が300V以下の場合はD種接地工事、300Vを超える場合はC種接地工事を行う。
低圧電線と弱電流電線等が接触しないように、セパレータを設ける。
フロアダクト・セルラダクト工事


使用できる電線
絶縁電線。(屋外用ビニル絶縁電線OWを除く)
より線、3.2mm以下の単線。
施工の規定
- 電線の接続点は、点検できる場所なら可能。
- 終端部は閉塞する。
- D種接地工事をする。
ライティングダクト工事


施工の規定
- 設置可能な場所は、乾燥した点検できる場所で、造営材を貫通してはならない。
- 終端部は閉塞する。
- 支持点間は2m以下。
- 開口部を下向きにする。(簡易接触防護装置を施した場合は、横向きに取り付けることができる)
- 接地工事の省略は、4m以下。
- 漏電遮断器を施設する。(簡易接触防護装置を施した場合は省略できる)
ショウウインドウ内の配線工事
乾燥した場所では外部から見やすい箇所に限り、コード・キャブタイヤケーブルを造営材に接触して施設できる。
施工の規定
- 電線の断面積は0.75mm2以上。
- 取付間隔1m以下。
- 屋内配線との接続は、差込接続器を使用する。
電気工事の規定事項
電線の接続
電線の接続時の注意(電技解釈第12条)
- 抵抗を増加させない。
- 引張強さを20%以上減少させない。
- 接続管・接続器具・直接接続してろう付けのいずれかを利用する。
- 接続部分を絶縁テープや接続器で絶縁する。
- 電気的腐食が生じないようにする。
電線の接続法
管内で接続点は設けないこと。
- 直接接続:ツイストジョイント、Sスリーブ
- 終端接続:リングスリーブ、差込形コネクタ、ねじり接続、ワイヤコネクタ


電線接続箇所の器具
- アウトレットボックス:金属管の電線接続、照明・コンセントの取付。
- コンクリートボックス:アウトレットボックスの用途でコンクリート内に埋めこむもの。
- プルボックス:金属管が多数集合する箇所に設置して電線の接続等を容易にする。
- スイッチボックス:スイッチやコンセントを取り付ける。




その他工事での規定
用語の定義(電技解釈第1条)
- 接触防護措置:設備を、屋内にあっては床上2.3m以上、屋外にあっては地表2.5m以上の高さに、かつ人が通る場所から手を伸ばしても触れることのない範囲。設備を、人が接近または接触しないように、さく、へい等を設け、または設備を金属管に収める。
- 簡易接触防護措置:設備を、屋内にあっては床上1.8m以上、屋外にあっては地表2m以上の高さに、かつ人が通る場所から手を伸ばしても触れることのない範囲。設備を、人が接近または接触しないように、さく、へい等を設け、または設備を金属管に収める。
地中電線路(電技解釈第120条)
使用できる電線は、ケーブルである。
深さは、圧力を受ける場所1.2m以上、その他0.6m以上。
メタルラス張り等との絶縁(電技解釈第145条)
メタルラス張り、ワイヤラス張りなどは、電気的に絶縁して貫通させること。
屋内配線と弱電流電線等との接近・交差(電技解釈第167条)
がいし引き工事以外の配線は、弱電流電線等と接触しないようにする。
小勢力回路(電技解釈第181条)
使用電圧60V以下、直径0.8mm以上の軟銅線。(ケーブルを除く)
電材
ケーブルブラケット
ケーブル立ち上がり部、端末部の固定に使用する。

電気工事の工具
電線
ワイヤストリッパ
電線の被覆を取る工具。

リングスリーブ用圧着工具
リングスリーブを圧着する工具。柄の部分が黄色である。

油圧圧着器
サイズの大きい端子を圧着する工具。

ボルトクリッパ
太いケーブルを切断する工具。

張線器(シメラー)
電線など金属製のワイヤーを張るための工具。

ケーブルジャッキ
重いケーブルドラムを棒に通して吊り上げて、ケーブルを伸ばす工具。

延線用ローラ
距離が長く太いケーブルを敷設する場合に、要所要所に配置してスムーズに敷設する工具。

より戻し付きケーブルグリップ
ロープとケーブルクリップの間に装着して、ロープのねじれがケーブルに伝わらないようにする工具。

呼び線挿入器
管の中にケーブルや電線を通す際に、ワイヤーを管の中に通してケーブルや電線を取り付け、引っ張り出す工具。

合成樹脂管
塩ビカッター
合成樹脂管を切断する工具。

トーチランプ
合成樹脂管を曲げる際に熱する工具。

面取器
合成樹脂管の内側・外側の面取りをする工具。

金属管
リーマ
金属管の端の内側の突起を除く工具。

クリックボール
リーマを取り付けて回転させる工具。

油圧パイプベンダ
ガス管や電線管の曲げ加工を行う工具。

パイプバイス
金属管の切断やねじ切りの際に固定する工具。

リード型ねじ切り器
薄鋼電線管にねじを切る工具。

高速切断機
といしを高速で回転させ鋼材等の切断する工具。

ノックアウトパンチャ
鉄板に穴をあける工具。

ホルソ
鉄板に穴をあける工具。

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