温熱指標

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温熱6要素

温熱感覚とは、室内で人が感じる暑さと寒さの感覚で、これを左右する要素には、気温・湿度・気流・放射・代謝量(作業強度)・着衣量の6つがある。
人の温熱的快適性は、気温など環境側の要素と、代謝量(作業強度)着衣量など人体側の要素に影響される。(二酸化炭素濃度は関係ない)

気温

快適と感じる温度は、夏が25~28℃、冬が17~22℃である。建築物環境衛生管理基準では18~28℃と規定されている。
快適温度は、女性より男性が低く、夏は冬より2~3℃高い。
過度な冷房は人体への影響が大きいので、室温外気温の差を7℃以にする。
室内温度は垂直的にも平面的にも、多少は不均一である場合が多く、その差を小さくすることが必要である。
暖房時は、椅子に座った状態を目安にして、床上0.1m~1.1mの間で3℃以内の温度差にすることが理想的である。
近年は節電などの影響により、オフィルビルの温度設定の変動が大きい。着衣量によって温度調整することも必要である。

湿度

快適と感じる湿度は、40~60%である。建築物環境衛生管理基準では40~70%と規定されている。
湿度が高いと体表面の蒸発がしにくくなり、暑く感じる。
室内における空気中の水分量そのものの空間的な分布は比較的小さい。
湿度調整は、有害微生物の発生や感染の防止に役立つ。
高湿度では、結露カビダニが発生する。過度の湿気を原因とする問題が確認できるような状態をダンプネスという。
低湿度では、静電気の発生、壁の塗装の剥離、ほこりの飛散、皮膚・粘膜の乾燥、ウイルスの生存率が高まり風邪などの呼吸器疾患が起こる。
低湿度の原因として、想定より高い室内温度で相対湿度が下がっていたり、加湿器の能力不足などが考えられる。

気流

極端な低気流は好ましくなく、適度な気流が必要で、建築物環境衛生管理基準では0.5m/s以下と規定されている。
風を継続的に受け続けると、体の熱が奪われて、低体温症になるおそれがある。
冷房時、冷房の吹出口の風をじかに受けないようにし、気流方向を調整する。

放射

壁、窓、床、天井などから空間を伝わる放射熱が影響を与える。
室温と放射温度の差が激しいと不快感を感じる。
冷たい窓や壁の放射温度差は10℃以内、熱い天井に対しては5℃以内にすることが望ましい。

代謝量(作業強度)

運動や作業で発生するエネルギーのこと。
椅子に座った安静状態で、体表面積当たりで58.2W/m2である。これを基準値として1metとする。
成人一人では、体表面積は約1.7m2なので、代謝量は約100Wとなる。

着衣量

着衣の断熱・保温性を示す指標。
気温21℃、湿度50%、気流0.1m/sの室内で、快適と感じる着衣量の熱抵抗値を1クロ[clo]と定義している。
1cloは、スーツ姿に相当する。

温熱環境指数

温熱環境指数は、体感温度を示す指標である。
快適感とは、熱環境に対して満足感を表現できる心の状態をいう。
温冷感とは、心理反応であり、人間の主観的評価による指標である。

不快指数(DI)

不快指数とは、夏の蒸し暑さの判定に用いられる。
乾球温度(気温)湿球温度、又は乾球温度(気温)相対湿度で求められる。

作用温度(OT)

気温、気流、放射による指標。

湿球黒球温度(WBGT)

WBGT指数とは、屋内外における暑熱作業時の暑熱ストレスの評価で、熱中症予防のための許容基準である。
湿球温度(Tw)黒球温度(Tg)乾球温度(Ta)から以下の式で算出する。
太陽照射がある場合:0.7Tw + 0.2Tg + 0.1Ta
太陽照射がない場合:0.7Tw + 0.3Tg
厚生労働省の熱中症予防通達では、WBGT指数に着衣の種類に応じて補正値を加え、身体作業強度(代謝率レベル)と熱への順化者・非順化者によってそれぞれ基準値が定められている。

黒球温度

周囲環境からの対流および放射の温度。
輻射熱(照り返しの熱)や気流の影響を測定するために用いられる。
乾球温度より高い。
グローブ温度計で計測され、銅製の黒球の中心温を測定する。

有効温度(ET)

無風で湿度100%とした場合の体感を基準として得られる温度。感覚温度、実効温度ともいわれる。
気温、湿度、気流で求められる。

修正有効温度(CET)

気温、湿度、気流に放射を加えたもの。

新有効温度(ET*)

気温、湿度、気流、放射に、基準湿度50%の着衣量、代謝量(作業強度)を加えて6要素にしたもの。

標準新有効温度(SET*)

新有効温度の6要素を基に、異なった条件の温熱環境で比較できるように標準化したもの。
相対湿度50%、椅子に座った状態の代謝量1Met、着衣量0.6clo、風速0m/sで標準化している。
快適範囲は 22℃∼26℃である。

予測平均温冷感(PMV)

PMVとは、温熱環境を物理的要素と、人体熱平衡式を基準とし人間的要素の温冷感で評価するもの。
暑い寒いを数値化し、値が0のとき95%の人が快適な状態となる。
気温、湿度、気流、放射、着衣量、代謝量(作業強度)の6要素で求められる。



Ver.1.2.1

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