温度と物質の変化

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物質の三態

気体、固体、液体の三態がある。
形態を変えるための熱量には、顕熱(温度上昇を伴う)と潜熱(温度は一定で状態の変化に使用する)がある。
全熱量=顕熱+潜熱である。

物理変化の用語

物理変化とは、形状・状態が変化するもので、物質自体の変化はない。
化学変化とは、新しい物質に変わる変化で、酸化、還元、分解、中和などがある。

  • 気化(蒸発):液体→気体の物理変化。
  • 凝縮(液化):気体→液体の物理変化。
  • 融解:固体→液体の物理変化。
  • 凝固:液体→固体の物理変化。
  • 昇華:固体→気体、気体→固体への液体を介さない物理変化。
  • 溶解:液体に溶ける物理変化。
  • 潮解:水分を吸ってどろどろに溶ける物理変化。
  • 風解:水分が蒸発して粉末になる物理変化。

顕熱

物資の温度上昇を伴う熱量。水蒸気を含まない。

顕熱の熱量

$\displaystyle Q=Mc(t_2-t_1) \ [kJ] $

$Q$:熱量 [$kJ$]
$M$:質量 [$kg$]
$c$:比熱 [$kJ/(kg・K)$]
$t_2-t_1$:温度変化 [$℃$]

水1kgが蒸発するまでの顕熱の熱量は、比熱が4.19kJ/(kg・℃)、温度差100℃なので、419kJとなる。

顕熱比(SHF)

顕熱/全熱(顕熱+潜熱)をいう。
一般的なエアコンでは、SHF=0.7程度となる。

潜熱(蒸発熱)

温度上昇を伴わない状態で変化する際に費やされる熱。水蒸気を含む。
圧力が高くなるほど潜熱は小さくなり、顕熱は大きくなる。圧力が臨界点に達すると潜熱は0となる。
蒸発(気化)の際に、蒸発潜熱を周囲より奪うことになる。その熱を気化熱と呼ぶ。
水の飽和水における比エンタルピー(顕熱)は419kJ/kgで、乾き飽和蒸気における比エンタルピー(全熱)は2676kJ/kgである。
よって、蒸発潜熱は、2676-419=2257kJ/kgとなる。

水の相変化

相変化

  • 飽和水:沸点にあるときの熱湯のこと。
  • 湿り飽和蒸気:乾き飽和蒸気と飽和水が共存している蒸気のこと。
  • 乾き飽和蒸気:飽和水がすべて蒸発しきった蒸気のこと。
  • 過熱蒸気:乾き飽和蒸気を更に加熱した蒸気のこと。
  • 過熱度:同じ圧力において、飽和蒸気温度と過熱蒸気の温度差のこと。

温度

飽和温度

ある圧力の下で液体が沸騰する(気化)、 または蒸気が凝縮する(液化)温度。
圧力が決まると飽和温度が決まる。圧力が高くなると飽和温度も高くなる。

沸点

水が沸騰する温度。
水の蒸気圧=外圧(大気圧)となる温度。
加圧すると外圧は高くなるので、蒸気圧=外圧となるまでに余分な温度が必要となり、沸点は上昇する。
減圧すると外圧は低くなるので、蒸気圧=外圧となるまでに必要な温度が減るので、沸点は降下する。
分子間に働く結合力(ファンデルワールス力)に打ち勝つ温度。
ファンデルワールス力は分子量が増えると強くなるため、分子量が増えると沸点は上昇する。
塩などの不活性物質が溶けると、水の分子が減り蒸気圧は低下する。飽和蒸気圧=外圧となるまでに余分な温度上昇が必要となる為、沸点は上昇する。
沸点が低い冷媒は、低い温度で飽和蒸気圧=外圧になる。外圧は変わらないので、もともとの蒸気圧が高い冷媒ということになる。

融点(凝固点)

氷が融解して水になる、または水が凝固して氷になる温度。
融解する分子の量=凝固する分子の量となる温度。
分子間に働く結合力(ファンデルワールス力)に打ち勝つ温度。
ファンデルワールス力は分子量が増えると強くなるため、分子量が増えると融点は上昇する。
塩などの不活性物質が溶けると、水分子は先に凝固し始めるが、余分な分子があるため、溶解する分子=凝固する分子となるまでに余分な温度低下が必要となり、融点は降下する。

臨界点

ある圧力に達すると蒸発潜熱が0となる。これを臨界点という。
この時の圧力を臨界圧力、温度を臨界温度という。
これを超える圧力を超臨界圧力という。この状態の物質(超臨界流体)は液体でも気体でもない、両方の特徴を持つ状態となる。

乾き度と湿り度

湿り蒸気の蒸気と水の占める割合を表す。
湿り蒸気1kgのうち、蒸気をXkgと水を(1ーX)kgを含む場合、Xを乾き度、1ーXを湿り度という。

圧力と熱量・比体積の関係

  • 圧力が高くなると、飽和温度が上がり、沸騰させるまでに必要な顕熱が多くなり、潜熱が減少する。(全熱はほぼ変わらない)
  • 飽和蒸気(気体)の圧力が高くなると、体積が圧縮され密度が高くなるので、比体積は小さくなる。
  • 飽和水(液体)の圧力が高くなると、圧力による圧縮では体積はほぼ変わらないが、温度上昇による膨張でわずかに体積が大きくなり、密度が低く比体積は大きくなる。

Ver.1.1.0

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