熱量計算と熱回路

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熱量計算

ジュール熱

抵抗Rに電流Iがt秒間流れることにより発生する熱量。

$\displaystyle Q=I^2Rt \ [J] $

$Q$:熱量 [$J$]
$I$:電流 [$A$]
$R$:抵抗 [$Ω$]
$t$:時間 [$s$]

金属の溶解熱量

金属の溶解は、固体→固体+液体→液体と状態変化する。
加熱電力量=顕熱+潜熱で表される。

$\displaystyle Q=Mc(t_2-t_1)+Mq=Ptη \ [KJ] $

$Q$:熱量 [$kJ$]
$M$:質量 [$kg$]
$c$:比熱 [$kJ/(kg・K)$]
$t_2-t_1$:温度差 [$K$]
$q$:溶解潜熱 [$kJ/kg$]
$P$:電力 [$kW$]
$t$:加熱時間 [$s$]
$η$:効率

混合物質の場合は、それぞれの含有質量と比熱から熱量Qを求めて加算する。(水分なら、潜熱は蒸発する質量分を計算する)

電気温水器の熱量

温水器の場合、蒸発潜熱は換算しないので、顕熱のみの式となる。

$\displaystyle Q=Mc(t_2-t_1)=Ptη \ [KJ] $

$Q$:熱量 [$kJ$]
$M$:質量 [$kg$]
$c$:比熱 [$kJ/(kg・K)$]
$t_2-t_1$:温度差 [$K$]
$P$:電力 [$kW$]
$t$:加熱時間 [$s$]
$η$:効率

電気加熱

電気加熱の指標

加熱正味熱量

被加熱材の質量がある場合は、加熱時間によって変化しない被加熱材の加熱に必要なエネルギー。(電力量)
被加熱材の質量がない場合は、単位時間あたりの被加熱材の加熱に必要な電力。(電力量に変換するには加熱時間が必要となる)

加熱設備のエネルギー原単位

被加熱材の単位質量当たりの消費電力量。
電力原単位=入力電力量/被加熱材の質量

加熱設備の電気効率

入力端の電力を計測点とする。
電気効率=(加熱正味熱量+損失電力量)/入力電力量
被加熱材の質量が示されていない場合は、加熱正味熱量・電力量[kWh]は電力[kW]として考える。

電気加熱の計算例

質量200kgの金属を40分間で20℃から1200℃まで昇温する加熱炉がある。被加熱物の比熱は0.477kJ/(kg·K)であり、温度に関わらず一定とする。
加熱炉の入力端における電力が110kWで、炉からの熱損失は35kWで共に一定とする。
加熱正味熱量、電力原単位、電気効率を求める。

加熱正味熱量

被加熱材の質量M=200kgで、比熱c=0.477kJ/(kg·K)、20℃から1200℃まで昇温する時の熱量Qは以下となる。
Q=Mc(t2-t1)=200×0.477×(1200-20)=112572[kJ]
熱量Qを電力量Wbに換算すると加熱正味熱量Wbとなる。
Wb=112572/3600=31.27[kWh]

電力原単位

入力端における電力が110kWで40分間の電力量より、入力電力量Wiを求める。
Wi=110×(40/60)≒73.333[kWh]
被加熱材の質量M=200kgなので、電力原単位Eは以下となる。
E=Wi/M=73.333/200≒0.366[kWh/kg]

電気効率

熱損失が35kWで40分間の損失電力量より、損失電力量Woを求める。
Wo=35×(40/60)≒23.333[kWh]
加熱正味熱量Wb=31.27kWh、損失電力量Wo=23.333kWh、入力電力量Wi=73.333kWhより、電気効率ηは以下となる。
η=(Wb+Wo)/Wi=(31.27+23.333)/73.333≒0.7445=74.5%

熱回路と電気回路

電気回路と熱回路の対応

電位差 $V$ [$V$] → 温度差 $θ$ [$K$]
電流 $I$ [$A$] → 熱流 $I$ [$W$][$kJ/h$]
電気抵抗 $R$ [$Ω$] → 熱抵抗 $R$ [$K/W$]
導電率 $σ$ [$S/m$] → 熱伝導率 $λ$ [$W/(m・K)$]
電気量 $Q$ [$C$] → 熱量 $Q$ [$J$]
静電容量 $C$ [$F$] → 熱容量 $mc$ [$J/K$]

熱流

断面積に単位時間に流れる熱量。(熱流束[W/m2]に面積を乗じたもの)
電気回路の電流に相当する。

$\displaystyle I=\frac{λS}{l}θ\ [W] $

$I$:熱流 [$W$]
$λ$:熱伝導率 [$W/(m・K)$]
$S$:断面積 [$m^2$]
$θ$:温度差 [$K$]
$l$:長さ [$m$]

熱抵抗

熱抵抗は伝導系抵抗(伝導)+伝達系抵抗(対流)で求める。

$\displaystyle R=\frac{1}{λ}・\frac{l}{S} \ [K/W] $

$R$:熱抵抗 [$K/W$]
$λ$:熱伝導率 [$W/(m・K)$]
$l$:長さ [$m$]
$S$:断面積 [$m^2$]

熱回路のオームの法則

$\displaystyle θ=RI \ [K] $

$θ$:温度差 [$K$]
$R$:熱抵抗 [$K/W$]
$I$:熱流 [$W$]


Ver.1.1.2

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