照明器具

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ランプ効率

1[W]あたり何[lm]の光束を出すかを表す。[lm/W]
光源の効率:η=F/P[lm/W](F:光源の発する全光束、P:消費電力)
効率の高いものから以下の順となる。ナトリウム>蛍光灯>高圧水銀>キセノン>白熱電球
発光効率は、ハロゲン電球20lm/W、蛍光ランプは50~100[lm/W]、LEDランプは150[lm/W]である。
器具の効率:K=Fo/F(F:光源の発する全光束、Fo:器具の外に出る光束)

ランプの寿命

点灯不能になるまでの点灯時間と、光束維持率が基準値以下になるまでの時間のうち、短い方の時間である。
光源の設計光束維持率は、点灯時間の経過に伴う光源自体の光束減退などによる照度低下を補償するための係数である。
一般に、周辺環境の清浄度が同じ場合、下面開放形の照明器具よりも、露出形や完全密閉形の照明器具の方が設計光束維持率が高い。
LED照明器具では、周辺環境の清浄度が同じであれば、露出形と完全密閉形の設計光束維持率は同等である。
寿命は、白熱電球は1000~2000時間、蛍光ランプは6000~12000時間、LEDランプは40000時間である。

白熱電球

フィラメント(抵抗)のジュール熱の温度放射を利用した電球。
電力の大部分が熱となり、発光効率が悪く、寿命も短い。
放射スペクトルは、さまざまな波長(色)を含んでおり、線スペクトルではない。
分光分布は長い波長へ向けて連続的に上昇する。

タンングステン電球

フィラメントにタングステンを使用したもの。

ハロゲン電球

石英ガラスバルブ内に不活性ガスとハロゲンガスを封入したもの。
白熱電球では、フィラメントから蒸発したタングステンは、バルブの内面に付着するが(黒化現象)、ハロゲン電球では、タングステンとハロゲンが結合して付着しないため(ハロゲンサイクル)、光束が低下しない。
最近は、バルブの外表面に可視光を透過し、電球からの赤外放射を反射する膜を設けた赤外反射膜付きハロゲン電球もスポット照明用に普及している。

蛍光ランプ

電流の低圧放電作用を利用したランプ。
両端に電極があり、ガラス管内に希ガス(アルゴンガス)と微量の水銀が密入されている。
両極に電圧を印加すると、陰極からでた電子が水銀原子に衝突し、紫外線を発光する。この紫外線が管内部の蛍光物質に当たり可視光を発生させる。
周辺温度による光束変動が大きい。
電極やガラスの劣化により6000~12000時間を寿命とする。

点灯方式

スタータ形

グローランプ(点灯管)を点灯させ、予熱をしてから蛍光灯に高電圧をかける方式。
点灯管にはバイメタルスイッチとアルゴンガスが封入されており、蛍光ランプと並列に接続されている。
点灯管に電源を入れると点灯管でのグロー放電熱によってスイッチが閉じ、蛍光ランプのフィラメントを予熱する。
スイッチが冷却によって開くときにスパイク電圧が発生して、蛍光ランプを点灯させる。
放電を安定させる安定器が付いている。
グロースイッチ間には高周波電流を吸収する雑音防止コンデンサが付いている。

ラピットスタート形

グローランプを使用せずに安定器で予熱、高電圧をかける方式。(銅鉄型安定器)
高速(1秒)で点灯できる。

インバータ形

交流を一旦直流に変換し、高周波に変換してちらつき無く点灯させる方式。(電子安定器)

改良型蛍光ランプ

Hf蛍光ランプ

高調波(High frequency)を使用して、高効率、省電力化をしたHf専用インバータを使用したもの。
管径が細く、効率が良い。

コンパクト形蛍光ランプ

ガラス管を折り曲げ、接合などして発光管をコンパクトにした片口金の蛍光ランプ。
管径が細く輝度が高い。
発光管内の水銀の蒸気圧の状態を維持するために水銀をアマルガム(合金)の状態で封入してある。

低圧ナトリウムランプ

低圧ナトリウム蒸気を使用する低圧放電ランプの一種。
単色光(黄色)のランプで、視覚度が高く、ランプ効率は高い。
演色性が悪い。
煙霧中の透過性が良く、トンネルで使用される。

HIDランプ(高輝度放電灯)

高圧放電によって発光する照明の総称。
安定器が必要である。
大型で効率が高く、長寿命なので大規模空間で使用される。
球切れの状態で放置すると、高圧パルスの影響で安定器故障につながる。

高圧ナトリウムランプ

水銀・高圧ナトリウム蒸気を使用する。
演色性を改善し、白っぽい黄色の光を発する。
点灯姿勢による影響を受けにくい。
道路や公園などで使用される。

高圧水銀灯

蛍光ランプより水銀の量が多い。
点灯姿勢による影響を受けやすいので、点灯方向に注意する必要がある。
水銀汚染防止法により、製造、輸出入が禁止された。

メタルハライドランプ

水銀とメタルハライド(金属のハロゲン化物)を使用する。
点灯姿勢による影響を受けやすいので、点灯方向に注意する必要がある。
平均演色評価数(Ra)が80を超える高演色性である。
スポーツ競技場や商店施設、プロジェクタなどの光学機器に使用される。

ネオンランプ

細いガラス管にネオンガスを封入し、点灯用に6000~15000Vのネオントランスを使用する。
特殊電気工事資格が必要である。

LEDランプ

半導体の接合面の電界発光のエネルギーを利用する。
半導体(発光ダイオード)のpn接合に順方向の電圧を加えると電流が流れるが、このとき、電子(-)と正孔(+)が移動して結合する。ここでエネルギーが放出されたものが光エネルギーとなる。
交流電源を直流に変換して使用する。
超寿命(電気絶縁材料の性能の限界40000時間)である。発光効率が良い(150[lm/W])ので消費電力が少ない。
電気エネルギーの変換効率(発光に使用される割合)は、蛍光灯の場合20%程度だが、LEDの場合は30~50%となる。発光以外のエネルギーは最終的には熱となる。
紫外線・赤外線の放出が少なく発熱が少ないが、熱に弱い
指向性が強く拡散しにくい。
小型、軽量である。
白色作成には、InGaN(窒化インジウムガリウム)を使用した青色LED(480nm)と黄色蛍光体(YAG蛍光体)(600nm)を混ぜる方法や、3原色(700nm)を混ぜる方法がある。
LEDの光束は周囲温度が上昇すると低下する。
光色が同じであっても、蛍光ランプとLEDとでは分光分布が異なる。

照明器具のLED化

白熱電球や引掛けシーリング照明に関しては、LED電球やLED照明器具に交換することでLED化することが可能である。
安定器を使用している直管蛍光灯の場合は、安定器をバイパスする必要があるため、LED化には工事が必要である。適切なランプと照明器具の組合せでないと、照明器具の焼損や火災を招くおそれがある。誤接続を防止するため、口金を従来のG13ではなく、GX16t-5、GZ16等のLED用の規格へ変更している。

直管蛍光灯のLED化工事

直管形LED照明器具の種類として、コンバータがランプの外部にあるものや、両側給電のものなどがあるが、片側給電でLEDランプ内部にコンバータを内蔵するものが主流になりつつある。
既存の直管蛍光灯をLED照明にする場合、端子台から安定器への線を切り、LEDランプの給電側口金の線に繋ぎ変えることで給電する。線の接続には、絶縁被覆付閉端接続子(CE形)を使用し、絶縁被覆付閉端子用圧着工具(青の柄)を使用すると楽である。

絶縁被覆付閉端接続子
絶縁被覆閉端子圧着工具

有機ELランプ

りん光発光素子などの有機物に電圧を印加すると有機物自体が発光する性質(電界発光)を利用する。
液晶と違いバックライトが不要で薄型化できる。
面全体で発光する面光源のため、点光源よりグレアが低い。
発光効率は90lm/W程度でLEDより低い。

建築化照明

建築化照明とは、照明器具を建築物の一部として天井等に組み込んだ照明方式である。

ブラケット

壁や柱、床に取り付ける照明器具。

ダウンライト

天井に埋め込む照明器具。
断熱材が照明器具の発熱によって発火しないように、「日本照明工業会 SB・SGI・SG形適合品」の表示マークが付されている照明器具を使用する。

コーニス・コーブ照明

壁に平行に遮光帯をつけて、壁(コーニス)や天井(コーブ)を照らす間接照明器具。

拡散グローブ

電球の表面などに利用され、上方光束と下方光束を同程度にする。

照明器具の保守

照明器具の交換方法

照明の交換方法として、個別交換方式、集団交換方式、個別集団交換方式がある。

  • 個別交換方式:不点灯になった光源をその都度交換する。光源の交換頻度が多くなり、保守に要する人件費がかさむことになる。
  • 集団交換方式:不点灯になっても、当初計画した交換時期、あるいは不点灯の光源が一定数に達するまで光源の交換を行わず、あらかじめ定めていた交換時点に達したときに全数を交換する。大規模な照明施設で光源の交換が比較的困難な場合や、保守の人件費を抑えたい場合に適している。
  • 個別集団交換方式:不点灯になった光源をその都度交換し、ある一定期間が経過した時点で、全数を交換する。

日本の事務所建築では光源の交換方式として、集団交換方式より個別交換方式が多い。

照明器具の維持管理

JIS C 8105-1によれば、照明器具の適正交換の目安は、累積点灯時間30000時間としている。
光源の交換と清掃の時期を合理的に組み合わせることが、所要照度の維持にとって望ましい。
調光制御は、センサと照明器具を連携させ、照明器具の明るさやオンオフを自動で制御し省エネをおこなうものである。

照明器具の清掃・点検

6カ月以内ごとに1回点検する。
照明器具の清掃間隔は、汚れによる照度低下によって損失する照明費をちょうど1回分の清掃費で相殺できる期間が、最も経済的な清掃間隔である。



Ver.1.2.2

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