電磁波

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電磁波の種類

電磁波とは、電界(電場)と磁界(磁場)が相互に作用しながら空間を伝播する波のことである。
光は電磁波の一種なので、電磁波の速度は周波数に関わらず一定で光速と同じである。
波長は、周波数が高くなると短くなる。
波長が短いものは、エネルギーが強く、皮膚透過性が小さい。
波長が短いものは、電磁波が障害物を回り込まないので直進性が高い。逆に遠くまで届きにくい。
波長の短いものから以下の順となる。

  • 放射線(ガンマ線<X線)   ~10nm(30000THz~)
  • 紫外線(UV-C<UV-B(ドルノ線)<UV-A) 10nm~380nm(3000THz~30000THz)
  • 可視光線(紫<赤)      380nm~780nm(3THz~3000THz)
  • 赤外線            780nm~1mm(300GHz~3THz)
  • マイクロ波          1mm~1m(300MHz~300GHz)
  • 電波(短波<中波<長波)   1m~(~300MHz)

放射線

高いエネルギーをもち高速で飛ぶ粒子、高いエネルギーをもつ短い波長の電磁波の総称。

電離作用による分類

電離作用

放射線が物質を通過する時、エネルギーを原子や分子に与え、電子をはじき出す働きをすること。
放射線は、電離放射線と非電離放射線に分類される。

電離放射線

電離作用を持ち、高エネルギーなもの。
粒子線(α線、β線、中性子線)、電磁波(γ線エックス線)などが該当する。
エックス線γ線が最も透過力が高く、鉛や鉄の板で遮蔽する。α線は紙、β線は薄い金属板で遮蔽することができる。
放射能の単位はベクレル[Bq]である。人体に与える影響の単位としては、放射線量シーベルト[Sv]が用いられる。
放射線の空間線量の測定には、シンチレーション検出器が用いられる。

非電離放射線

電離作用を持たず、低エネルギーなもの。
紫外線から波長の長い電磁波。

生体への影響

被曝

  • 体内被曝:放射線で汚染された空気や食べ物を摂取して被曝すること。
  • 体外被曝:直接放射線に接することで被爆すること。

胸部X線検査の1回当たりでの被曝線量は、自然放射線からの年間被曝量の世界平均よりも少ない
体外被曝に対する防護の3原則は、距離を離す遮蔽被曝時間短縮である。
放射線障害防止対策で、環境モニタリングによる環境管理、個人被曝線量管理として、フィルムバッジの使用・健康診断などがある。
生体内に取り込まれた放射性物質が2分の1量になるまでの時間を生物学的半減期という。

人体への影響

電離放射線の生体影響として、感受性が最も高い細胞はリンパ球である。(関節リウマチや網膜損傷は関係ない)
早期の影響として皮膚潰瘍不妊脱毛などがある。
晩発の影響として白血病がん白内障胎児の障害などがある。
少量でも影響する閾値が無いものを確率的影響、あるものを確定的影響という。
確定的影響は、皮膚潰瘍、不妊、脱毛、白内障などが該当する。
確率的影響は、遺伝子異常や、がんなどが該当する。

紫外線

紫外線は赤外線より波長が短く、皮膚透過性が小さい
波長によって3領域に分類され、UV-A、UV-B(ドルノ線)、UV-Cがある。
波長が最も短いのはUV-Cでオゾン層に吸収され、地上には届かない。

人体への影響

光化学反応、ドルノ線(UV-B)によって皮膚でビタミンDを生成する作用、殺菌性がある。
角膜の傷害、溶接作業での電気性眼炎や、白血病、皮膚の悪性腫などの原因となる。(熱中症の原因は赤外線)
白内障の原因にはなるが、緑内障の原因ではない。

可視光線

で確認できる電磁波。
可視光の波長は、紫<青<水色<緑<黄<橙<赤 の順番となる。
相対分光分布図では、青空光は青が多く、白熱電球は橙が多い。
LED電球は青色と黄色を混ぜて白色を作成するので二つの分布(山)がある。

赤外線

常温物体からは、波長が10μmの赤外線が射出されている。

人体への影響

代謝を高め、皮膚血管を拡張させる。
白内障(ガラス工白内障)や網膜の傷害、熱中症などの原因となる。(急性角膜炎の原因は細菌である)

マイクロ波

メガ以上の高い周波数の電磁波。
通信レーダや、電子レンジで使用される。
強いものは白内障の原因となる。
携帯電話端末等の無線設備は、局所SAR(Specific Absorption Rate)の許容値が2W/kgを超えないことが総務省令により義務付けられている。
SARは、電磁波が人体に吸収されるエネルギー量を示し、この規制は携帯電話から発信された電波が人体に与える影響を制限するものである。

ISMバンド

工業・科学・医療などの分野で利用するために国際電気通信連合(ITU)が割り当てた無線通信以外の周波数帯。
ITUが周波数の使用目的を取り決め、各国の主管庁に監督責任を委ねている。日本では総務省が管轄している。
電波の利用には無線取扱免許や届け出が必要であるが、ISMバンドは免許がなくても利用できる。

発光の分類

レーザー

混合光の1色のみを取り出して増幅させた人工の光で、単波長である。
レーザー光線には可視光のレーザーの他、赤外線(熱加工)や紫外線(半導体露光など微細な加工)のレーザーがある。
生体の障害作用では、目が最も障害を受けやすい。

ルミネセンス

原子・分子などが外部からエネルギーを吸収して、励起(高いエネルギー準位に移ること)して、そのエネルギーを電磁波として放出する発光現象のこと。

  • フォトルミネセンス:物質が光(フォトン)を吸収した後、光を再放出する。蛍光灯の原理。
  • エレクトロルミネセンス:主に半導体中において、電界を印加することによって得られるルミネセンス。LED、有機ELの原理。

ストークスシフト

蛍光体は、特定の波長(励起波長)の光エネルギーを吸収し、そのエネルギーをより長い波長(蛍光波長)の光として発光する。(特定の光を吸収し別の色の光を放出する)
電子が励起状態(高いエネルギー準位)から基底状態(低いエネルギー準位)に移行するときには、振動エネルギーの損失を生じる。これをストークスシフトとよび、この損失によって、励起波長より蛍光波長の方が長波長(低エネルギー)となる。
振動エネルギーの損失なので、振動数が大きい(波長が短い)方が損失は大きくなる。

磁場と電場

電磁波とは、電場(電界)と磁場(磁界)が相互に作用しながら空間を伝播する波のことである。
磁場の単位として、磁束密度を表す[T](テスラ)又は[G](ガウス)、磁界の強さを表す[A/m]がある。
電場の単位は、電界の強さを表す[V/m]がある。
電流の流れるところには、電流に応じて必ず電磁場が発生する。
家庭用電化製品・送電線等から発生する電磁場は、時間的に変化する変動磁場である。
地球磁場のような、時間的に変化しない静磁場の曝露による健康影響は知られていない。
静電場は、時間的に変化しない電場(帯電した物体の回りに存在し、その影響が及ぶ空間)である。
冬は湿度が低く、空気中の水分で物体に帯電した電気が逃げにくいため、静電場が生じ静電気が起きやすくなる。



Ver.1.2.5

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