設備の保全
設備の保全活動には、維持活動と改善活動がある。
建築物の維持管理は、日常の点検保守だけでなく、一定の期間での修繕が必要となる。
維持管理の目的として、故障、事故の発生の予知、危険・災害の未然防止がある。
点検、整備、検査、修理を行う業務は保全業務に位置づけられる。
点検業務は、法定点検業務及び、設備機能維持のために行われる任意点検業務に区分される。
異常の兆候は、それ自体を測定することは難しく、振動などのパラメータから推定する。
機器の摩耗・消耗・腐食等による性能の低下を物理的劣化といい、機器の持つ機能と時代とともに高度化していく要求機能との乖離が次第に大きくなることを社会的劣化という。
建築物の長寿命化には改修、補強、転用も必要となる。
空気調和・換気設備のリニューアルまでの使用期間は、20~30年となる場合が多い。
保全の種類
事後保全
設備に故障が発生してから、当該部分を速やかに修理、交換する。
予防保全
部品の劣化を保全計画に組み入れて計画的に修理、交換する。
ポンプなどの機器を分解点検し、性能回復のための必要な修理や交換などの整備をおこなうことことをオーバーホールと呼ぶ。
改良保全
設備上の弱点を補強するなど、耐用年数を延ばす。
保全予防
計画の段階から信頼性の高い設備にすること。
ライフサイクルコスト(LCC)
ライフサイクルは、設備の計画、設計、製作、運用、保全を経て廃却又は再利用までを含めたすべての段階及び期間である。
ライフサイクルコストは、建物の生涯にわたって必要なすべての費用である。
現地調査や用地取得は企画設計費となり、修繕は運用管理費、技術研究は運用支援費、廃棄処分は廃棄処分費に分類される。
故障の特性
バスタブ曲線
横軸に時間、縦軸に故障率を示したグラフ
初期故障期間-偶発故障期間-磨耗・劣化故障期間はバスタブのような曲線となる。
平均故障間隔(MTBF)
故障から次の故障までの平均的な間隔を表す。連続稼働できる動作時間の平均値。
大きいほど信頼性が高い。
ビル管理の関連用語
ビル管理の手法
ファシリティマネジメント(FM)
企業・団体等が組織活動のために施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動のこと。
コストと品質の最適化バランスを目的としている。
ファシリティマネジメントを支援するソフトウェアを、CAFMという。
事業継続計画(BCP)
災害、システム障害など危機的状況下に置かれた場合でも、重要な業務が継続できる方策を用意し、生き延びられるようにしておくための計画。
具体的には、自家発電の導入などが該当する。
PDCAサイクル
Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)を繰り返し、業務を継続的に改善していく手法のこと。
日報・月報などによる使用状態の「見える化」機能が有効である。
建築物の評価
CASBEE
建築物総合環境性能評価システム(省エネなどの評価)の略である。
評価対象は、エネルギー消費・資源循環・地域環境・室内環境の4分野である。
建築物の環境性能を評価する環境性能効率BEE(建築物の環境品質/建築物の環境負荷)を使用している。
デューディリジェンス
建築物の不動産価値を様々な観点から評価するもの。
建物の躯体・設備の現況以外に、維持管理状態や稼働状況なども評価対象である。
POE
建築物使用者の観点による性能評価システム。
建築物関連の用語
コーポレートアイデンティティ(CI)
企業の特性や個性を提示する統一されたイメージやデザインのこと。
室内空気環境(IAQ)
室内空気環境品質。
PFI(Private Finance Initiative)
公共施設などの建設・運営やそのサービスなどを、民間の資金や技術を活用して行うこと。
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