排水設備

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排水管

排水管の設置

腐食防止の措置を講ずることが定められている。
排水管の内径及び排水渠の断面積は、地方公共団体の条例で定められる。
汚水を含む排水渠は、暗渠とする。
寒冷地における敷地排水管は、凍結深度より深く埋設する。
施工時には着色水を用いて通水試験を行い、誤接続がないか確認する。

排水立て管

1本以上の排水横枝管からの排水を受けて、排水横主管に排除する立て管。(鉛直、又は鉛直と45度未満の角度で設ける管)
排水立て管の管径は、上部も下部も同一にして気圧を一定に保つ。
伸頂通気方式の排水立て管には、原則としてオフセットを設けてはならない。
複数の排水立て管を同一の排水横主管に接続する場合は、通気を十分確保する。

オフセット

排水立て管の配管経路を水平移動するための移行部分をいう。
エルボ又はベンド継手で構成されている。

ブランチ間隔

排水立て管に接続している各階の排水横枝管、または排水横主管の間の垂直距離2.5mを越える排水立て管の区間のこと。
2.5mを越える区間が2個存在する場合、ブランチ間隔は2となる。

排水横管

排水横主管

建物内の排水を集めて、屋外排水設備に排除する横管。
建物外壁から屋外排水設備の枡までの間の管もこれに含まれる。
自然流下式の排水横管の勾配は、管内流速が0.6~1.5m/sになるように設ける。
伸頂通気方式の排水横主管の水平曲がりは、90度大曲ベンド(エルボ)を用い、排水立て管の底部より3m以内に設けてはならない。
排水横管の最小勾配は、管径によって以下のように決められている。

  • 管径65mm以下:1/50以上
  • 管径75100mm1/100以上
  • 管径125mm1/150以上
  • 管径150~300mm1/200以上(おおよそ1/管径以上)

排水横枝管

1本以上の器具排水管からの排水を受けて、排水立て管、又は排水横主管に排除する横管。(水平、又は水平と45度未満の角度で設ける管)
排水立て管のオフセット部の上下600mm以内に、排水横枝管を設けてはならない。

逆流防止弁

下水本管からの排水の逆流を防止するために設置する。(臭気の逆流ではない)

器具排水管

衛生器具に付属、又は内蔵するトラップに接続する排水管で、トラップから他の排水管までの間の管。

排水管の継手

排水管の継手は、管の内面と継手の内面が平滑になるような構造になっている。
排水立て管と排水横主管の接続は、大曲ベンドで接続する。
ねじ込み式排水管継手(エルボ)の勾配は1/48である。

排水槽(ビルピット)

排水が自然流下によって公共下水道や排水設備に直接排出できない場合、排水をポンプで揚水して排出するために一時貯留させる槽。
排水槽は、汚水槽・雑排水槽・湧水槽・合併槽(汚水と雑排水を合わせたもの)に分けられる。
硫化水素の発生が原因となって、躯体部の一部が劣化する場合がある。

排水槽の構成

構造

排水槽の底には吸い込みピットを設け、1/15以上1/10以下の勾配を設ける。
底部勾配面には、点検歩行を容易にするため階段を設ける。
排水槽内の悪臭の発生防止及びスカムなどの固着化を防止するために、ばっき撹拌装置を設ける。
ブロワによってばっ気をすると、正圧になるので排気を行う。

排水ポンプ

排水ポンプは床面ではなく、吸い込みピットに取り付ける。
空気の吸い込み防止のため、吸込みピットの壁面から200mm以上離して設置する。
原則として2台設置し、常時は交互運転とする。
汚水ポンプ(固形物無し)、雑排水ポンプ(小さい固形物)、汚物ポンプ(固形物の大きい厨房やトイレ)で、ポンプは使い分ける。
厨房排水槽・汚水槽のポンプを運転する水位制御には、汚物による誤作動を防ぐため、電極棒ではなくフロートスイッチを使用する。
ポンプの最小口径は、汚水ポンプ40mm、雑排水ポンプ50mm、汚物ポンプ80mmとする。

通気管

通気管は単独で設け、直接外気に開放する。
口径は5cm以上とし、臭気が漏れない構造とする。
外部からの成虫の侵入経路となるので、防虫網を設置し、チカエイカ・チョウバエ類などの発生を防止する。

マンホール

マンホールはパッキン付きの密閉式で直径60cm以上の円が内接できるものとする。
水中ポンプが取り出せる大きさにして、水中ポンプ又はフート弁の直上に設置する。
二つ以上設けることが望ましい。

排水槽の悪臭対策

汚水は徐々に腐敗して、硫化水素が発生する。いわゆる卵の腐ったにおいを出す。
悪臭防止対策としては、1~2時間を超えて排水を貯留しないように、タイマ制御による強制排水を行う。
ポンプの運転停止位置を排水ピットより低くした即時排水型ビルピット設備は、排水槽の悪臭防止に有効である。
排水槽内にばっ気攪拌装置を設ける。

排水ます・雨水ます

排水ます

排水ますは、敷地内排水配管の清掃や点検が必要な箇所に設ける。(掃除口とはいわない)
排水ますの大きさは、配管の埋設深度接続する配管の大きさと本数、及び点検等を考慮して決定する。
敷地排水管が長い場合は、管内径の120倍を超えない範囲に排水ますを設ける。
汚水や雑排水ますの底には、固形物の滞留を防ぐインバート(溝)を設けると、固形物の滞留防止となる。

  インバート

雨水ます

雨水ますは、土砂の下水道への流出を抑制する。
雨水ますの底には、土砂を堆積させる泥だめを150mm程度設ける。
雨水ますの流出管は、流入管よりも管底を20mm程度下げて設置する。

     雨水ます

トラップます

雨水排水管と合流式の敷地排水管を接続する場合は、トラップますを設け、ルーフドレンからの悪臭を防止する。

    トラップます

掃除口

排水管には、管内の掃除が容易にできるよう適切な位置に掃除口を設ける。
床下にある掃除口は排水との接触時間が長いため、鋼製プラグを用いると腐食するので、耐腐食性に優れている砲金(青銅)製プラグが適している。
容易にはずせるようにネジ部にグリースを塗っておく。

掃除口の設置

設置箇所

  • 横管の起点。
  • 延長が長い場合は途中。
  • 排水横管が45°を超える角度で方向を変える箇所。
  • 排水横主管敷地排水管との接続箇所に近い所。
  • 排水立て管の最下部、3〜5階おき程度の間隔。

掃除口の口径と間隔

  • 管径が100mmを超える場合は、口径は100mm以上とし、30m以内に設置する。
    (厨房排水管の場合は、管径が100mmを超える場合、口径は管径と同一とする)
  • 管径が100mm以下の場合は、口径は同一とし、15m以内に設置する。

掃除口の種類

ツバ付掃除口

トラップや配管合流部の保守点検用として設置され、配管の高圧洗浄時などに使用する。
掃除口レンチで蓋を開ける。(工具が無い場合はドライバー2本を穴に入れて回して開ける)

湧水排水設備

湧水槽(ゆうすいそう)

沁みだした地下水を貯める。
勾配がつけられ、底には吸込ピットと湧水ポンプが設置されており、ポンプで排水する。
原則として湧水以外の排水を流入させてはならない。

連通管

湧水槽の個々を結ぶ管。

雨水排水設備

雨水の集水場所は、原則として建築物の屋根面とし、屋上やベランダの雨水はルーフドレンを経由して雨水管に流入する。
雨水管より雨水枡に集められた雨水は、単独系統として屋外へ排出することを原則とし、公共下水枡に流れて排出される。
中水として再利用する場合は、雨水貯留槽に貯えられる。
集水装置では、屋根面の汚れを点検する。

雨水処理

雑用水としての処理

雨水を再利用する場合は以下の順で処理する。
集水→スクリーン→沈砂槽沈殿槽→雨水貯留槽→消毒装置→雑用水槽→給水
油分などの有機物が含まれていることはほとんどないので、活性炭吸着や生物処理は必要ない。
雨水貯留槽では、沈殿物の有無を点検する。
雨水利用設備から発生した汚泥は、産業廃棄物である。

雨水浸透方式

雨水浸透方式は、雨水を下水に流すのではなく、地下に吸い込ませる方式。
下水道への負荷の軽減や、地下水の涵養(かんよう)を図るために設ける。
雨水浸透施設は、透水性舗装浸透ます、浸透地下トレンチ等により構成される。

集水装置

ルーフドレン

屋上やバルコニーの雨水を集める排水管器具。
ストレーナ開口面積は、土砂や落ち葉が詰まらないように、接続する雨水排水管の断面積の2倍以上とする。
ストレーナでは、網の破損状態を点検する。
雨水トラップは、ルーフドレンからの悪臭の防止を行う。

厨房排水除害施設

ノルマルヘキサン抽出物質(比較的揮発しにくい油脂類)などの除去が主な目的で、下水道の閉塞防止をする。
厨房排水のBOD及びSSは、その他の雑排水よりも高濃度である。
コンクリート水槽内の壁面などの腐食対策、処理施設の臭気対策が必要となる。
厨房排水除害施設での汚泥は、産業廃棄物である。

厨房排水処理

生物処理法

生物処理法による油分離は、酵母菌や油分解菌を用いた処理方法が一般的である。
添加する菌種によってはpHに影響される。
浮上分離法に比べてランニングコストが低く、発生汚泥量が比較的少ない

浮上分離法

浮上分離法による油分離は、一般的に加圧浮上分離法が用いられる。
加圧浮上分離法とは、空気を加圧して水に溶解させてから大気圧に減圧して微細な気泡を発生させ、気泡に油を付着させて浮上分離する。
排水の密度と油分の密度の差が大きく、油分の直径が大きいほど浮上速度が速くなる。(ストークスの法則)

阻集器

排水中に含まれている土砂や油脂などを除去し、排水管に流さないようにするために設置するもの。
トラップが直接組み込まれていない阻集器は、先に固形物を取り除く必要があるので、阻集器の出口側にトラップを設置する。

阻集器の種類

グリース阻集器

厨房からの排水に設置する。
器内への排水の流入部へバスケットを設けて、排水中に含まれる厨芥(ちゅうかい)や油脂分を取り除く。
以下の間隔で清掃を行う。

  • 受けかご(バスケット)の厨介:1日に1回
  • グリース(油脂):7~10日に1回
  • 槽内の清掃:1カ月に1回
  • トラップ:2カ月に1回

<画像出典:西宮市ホームページ>

プラスター阻集器

歯科などで、使われたプラスタ(石膏)貴金属等の阻止・分離・収集を行う。

砂阻集器

建築現場、工場等から多量に排出される土砂石粉セメント等を阻止・分離・収集を行う。
砂阻集器に設ける泥だめの深さは、150mm以上とする。

オイル阻集器

駐車場などで、ガソリン及び油類の阻止・分離・収集を行う。
開放式のオイル阻集器を屋内に設置する場合は、換気を十分に行う。

その他の分離・収集器

ストレーナ

水、温水、蒸気配管内に含まれる異物を取り除くために、配管中や末端の給水栓中に設けるろ過装置。
浴場、流し場等の汚水流出口に、固形物の流下を阻止するために設ける目皿。
逆洗洗浄装置(ろ材に溜まった汚れを反対側から水を流すことで洗浄する装置)が付いているものもある。

排水口

間接排水

排水を直接排水管に繋ぐのではなく、一度配管を切り離し、大気中で空間をとって水受け容器に排水すること。
排水の逆流による汚染が心配される所に使用する。
通常は、排水管の管端と水受け容器の間に排水口空間を取る。
排水口空間とは、排水管の管端と、排水を受ける器具などのあふれ縁、又は排水を受ける床面との間の垂直距離のことである。
トラップがある便器の排水や、グリース阻集器(油の除去器)などがある場合には必要ない。
間接排水管の配管長が、1500mmを超える場合は、悪臭防止のために機器・装置に近接してトラップを設ける。

排水口空間の距離

排水口空間は、排水管の口径によって以下の距離が必要である。(おおよそ管径の倍以上)

  • 口径65mm以上150mm以上
  • 口径30~50mm:100mm以上
  • 口径25mm以下:50mm以上

排水口開放

洗濯機排水管など逆流先が飲料用の水ではない場合で、排水口空間を設けるスペースがない時には、排水口開放を行う。
排水口開放とは、間接排水管を一般の排水系統へ直結している水受け容器、又は排水器具のあふれ縁より低い位置で開放することをいう。

排水口の器具

水受け容器

排水を一時貯留し、排水系統へ導くために用いる器具。
水受け容器側にはトラップを設置する。

ホッパー

電気温水器や空調機などからのドレンを間接排水するために、排水管の末端に取り付けられるじょうご形の部品。

目皿

排水口に設ける板。
金属製で多数の穴があいており、比較的大きめなゴミの流出を防止するために取り付ける。
厨房やトイレなどのように、床に大量の水を流して清掃する箇所には、防水処理と同時に防水層用の排水目皿を設置する。

フロアドレン

浴室やトイレの床に設ける排水用の器具。
受け皿および密閉したトラップが付く。



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