通気設備の役割
排水管の排水量は一定でないため、管内の空気圧は負圧と正圧が混在する。
圧力変動によりトラップの封水破壊や排水不良を防ぐため、排水管の適当な位置に通気管を設けて空気圧を一定に保つ。
タンク類において水位変化によって生ずる気圧変動を調整する目的で空気を流通させる。
通気方式
各個通気方式
衛生器具トラップごとに通気管を設けて、通気立て管に接続する方式。
自己サイホン作用の防止に効果がある。
ループ通気方式
排水横枝管の最上流の衛生器具の下流直後から通気管を設けて、2個以上の衛生器具トラップをまとめて通気立て管に接続する方式。
横管が枝分岐されている場合は、枝管毎に通気管を設ける。
伸頂通気方式
通気立て管を設けずに、排水立て管の最上部をさらに立ち上げ、これを通気管にする方式。
通気量が限られるため、排水横主管以降が満流となるような場合は使用してはならない。
特殊継手排水方式
伸頂通気方式の一種で、排水横枝管への接続器具数が比較的少ない集合住宅やホテルなどで用いられる。
排水横枝管からの排水は特殊継手を通ることで、排水立て管にらせん状に水が流れ、中心部に空気の通路ができる。
ある程度の流量変化に対応でき、排水立て管内の排水流速の低減にもなる。
通気管
通気管の設置
通気管は、管内の水滴が排出管に流れ出るように勾配をつける。
通気管は、床下で接続してはならない。
排水横管から通気管を取り出す場合は、排水管断面の垂直中心線上部から45°以内の角度を取る。
通気管の末端は、建物の張り出し下部などの空気が停留するところには設けず、屋上を使用する場合は2m、屋上が無い場合は、200mm以上立ち上げて開口する。
通気管の末端を、窓・換気口などの近くにもうける場合は、その上端から600mm以上立ち上げるか、水平に3m以上離して開口する。
通気管の大気開口部に設置する通気口の通気率(開口面積/管内断面積)は、100%以上必要である。
通気口には、害虫や鳥の侵入を防止するためのスクリーン又は網を設ける。
通気管の許容圧力差とは、排水系統に支障を起こさない通気の起点と終点の圧力差である。
通気管の種類
伸頂通気管
最上部の排水横管が排水立て管に接続した点よりもさらに上方へその排気立て管を立ち上げ、これを通気管に使用する。
排水立て管頂部と同じ管径で延長して大気中へ開口する。
伸頂通気部には、過度の抵抗をもつ部品を使用してはならない。
通気立て管
排水系統のいずれの箇所も空気の循環が円滑に行われるように設けられた縦の通気管。
通気立て管の上部は、最高位の衛生器具のあふれ縁から150mm以上高い位置で、伸頂通気管に接続する。
通気立て管の下部は、排水立て管に接続されている最低位の排水横枝管より低い位置より取り出す。
ブランチ間隔が3以上で、ループ通気方式とする場合は、通気立て管を設ける。
通気主管
通気立て管及び伸頂通気管を大気中に開口する前に、これらの管を一本にまとめた管寄せ部分。
ループ通気管
2個以上のトラップを保護するため、通気立て管又は伸頂通気管に接続するまでの通気管。
最上流の器具排水管が排水横枝管に接続される位置のすぐ下流から、最高位の衛生器具のあふれ縁から150mm以上立ち上げて、横送して通気立て管に接続する。
誘導サイホン作用を防止する。
各個通気管
個別の器具排水管から立ち上げた通気管。
各個通気管は、通気横枝管に接続され、それを通気立て管に接続する。
トラップのウェア(封水の水面の流水口側)から管径の2倍以上離れた下流の位置から立ち上げる。
湿り通気管
2個以上のトラップを保護するため、排水管と通気管を兼ねた部分。
雨水排水管は、兼用してはいけない。
逃し通気管
排水管と通気管の両系統の空気の流通を円滑にして圧力変化を逃がすもの。(臭気ではない)
通気管の通気率である開口部の面積と、管の断面積の比は同じ(100%)でなければならない。
ループ通気方式において、大便器及びこれと類似の器具が8個以上接続される排水横枝管には、逃し通気管を設ける。
結合通気管
排水立て管内の圧力変動を緩和するため、排水立て管から分岐して立ち上げ、通気立て管に接続する通気管。
高層建築物でブランチ間隔10以上の排水立て管において、最上階から数えてブランチ間隔10以内ごとに設ける。
連合通気管という名称はない。
通気弁
排水管の内部が負圧になったときに空気を吸入する弁。
空気の排出はしないので、正圧の制御はできない。
寒冷地の集合住宅などで、通気管の凍結・閉塞事故を防止する目的で屋内に設置できるものもある。
通気設備の保守
通気管は、1年に1回、定期的に系統ごとに異常がないかを点検・確認する。
通気管に設置された通気弁は、1年に1回、可動部分の点検を行う。
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