化学の基礎

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物質の分類

純物質と混合物

純物質

1種類の物質からなる物質。
融点・沸点は一定となる。

混合物

2種類以上の物質が混ざってできた物質。
物理的方法で分けることができる。

単体と化合物

純物質はさらに単体と化合物に分かれる。

単体

1種類の原子からできているもの。(水素、酸素、オゾンなど)

化合物

2種類以上の原子からできているもの。(水、アルコールなど)
成分元素の重量比は一定である。
化学的方法で分解することができる。

有機化合物

炭素を含む化合物で、動植物に多く含まれている。
可燃性で、融点や沸点が低いため熱に弱い。
水に溶けにくい。
共有結合で、電気を通さない。
一般に完全燃焼すると二酸化炭素と水が発生する。

無機化合物

有機化合物以外の化合物。炭素を含まないものが多い。
不燃性で、融点や沸点が高いため熱に強い。
水に溶けやすい。
イオン結合で、電気を通す。

高分子化合物

分子量が約1万を超える化合物である。
天然に存在する天然高分子化合物と、人工的につくられる合成高分子化合物とがある。
天然高分子化合物には、炭水化物やたんぱく質などが該当する。
合成高分子化合物には、合成樹脂(プラスチック)、合成ゴム、合成繊維があり、軽くて加工がしやすく、衝撃に強いので、様々な材料で使用される。

構成元素による分類

同素体

1種類の原子で結合が異なり、化学的性質が異なるもの。
酸素とオゾン、黄リンと赤リン、ダイヤモンドと黒鉛、単斜硫黄と斜方硫黄など。

同位体

同じ原子番号を持つ原子で、原子核の中性子(原子の質量数)が異なるもの。
化学的性質はあまり変わらない。
水素と重水素など。

異性体

分子式が同一(原子の種類と数が同じ)で、構造や性質が異なるもの。
エチルアルコールとエーテル、ブタンとイソブタン、パラキシレンとメタキシレンなど。

電気的特性

電解質

溶媒中に溶解した際に、陽イオンと陰イオンに電離する物質のこと。
電気を通す。
塩など。

非電解質

溶媒中に溶解しても電離しない物質。
電気を通さない。
砂糖など。

化学変化

化学変化とは、新しい物質に変わる変化で、酸化、還元、分解、中和などがある。
物理変化とは、形状・状態が変化するもので、物質自体の変化はない。
物理変化で発生する熱には、摩擦、圧縮、ニクロム線の発熱などがある。

酸化

物質が酸素と結合する反応であり、酸化数が増える。燃焼や錆びること。
物質から水素や電子を奪う反応である。
酸化と還元は必ず同時に起こる。
酸化剤とは、相手を酸化させる物質のことで、自分は還元される。相手の反応によっては還元剤となることもある。
酸化性物質とは、その物自体は燃焼しないが、自身は還元され酸素を放出し、他の物質を酸化させて激しい燃焼を起こさせる。

還元

物質から酸素が奪われる反応。
物質が水素や電子を得る反応である。
還元性物質とは、その物自体が酸化して燃えやすく、他の物質を還元させる。酸化性物質と混合すると激しく燃焼する。

分解

1つの物質から2つ以上の新しい物質になることである。
例:水→酸素+水素。
塩の加水分解とは、塩が水に溶け、水の分子と反応して、酸とアルカリ(塩基)に分かれる反応のことである。

中和

酸とアルカリ(塩基)の混合で、塩と水を作ることである。

化学反応熱

化学変化で発生する熱を反応熱といい、燃焼熱、分解熱、生成熱、溶解熱、中和熱などがある。

  • 燃焼熱:1molの物質が完全燃焼したときに発生する熱量。
  • 分解熱:1molの化合物が成分元素に分解したときに発生、吸収する熱量。
  • 生成熱:1molの化合物が単体から生成するときに発生、吸収する熱量。
  • 中和熱:酸1molと塩基1molが中和しての1molの水が生成されたときに発生する熱量。
  • 溶解熱:1molの物質が溶媒に溶解したときに発生、吸収する熱量。

物質の単位

原子

それ以上分割できない粒子で、物質の最小単位。
水素原子(H)、酸素原子(O)など。
原子を構成する種類(名前)を元素という。

原子の構造

原子は、原子核(陽子+中性子)とその周りを回る電子で構成される。
陽子は(+)の電荷を持ち、電子は(ー)の電荷を持つ。中性子は電荷を持たない。
原子に含まれる陽子の数と電子の数は同じであり、原子番号で表される。

価電子・不対電子

原子核の周りの電子は、電子殻と呼ばれる位置に配置される。電子核は、内側から順番にK殻(2)、L殻(8)、M殻(18)、N殻(32)と呼ばれ、それぞれ収容できる電子の数(カッコの数)が決まっている。
電子は内側の電子殻から順番に入る。最外殻(最も外側の電子核)にある1から7個の電子を価電子と呼び、最外殻電子のうち電子対(価電子が対になったもの)を作っていない単独の電子のことを不対電子と呼ぶ。

原子の質量

原子核の質量をいい、陽子の数+中性子の数である。(陽子と中性子の質量はほぼ同じで、電子の質量は約1/1840と小さいため無視している)

原子量

原子量は、炭素を12としたときの各原子の相対的な質量を表す。
水素(1)は、1mol=1gである。
原子量と原子の質量はほぼ等しいが、同位体が存在する元素は、原子番号が同じで中性子の数が異なるため、必ずしもすべてが一致するものではない。

原子価

原子が何個の他の原子と結合するかを表す数。
原子価=不対電子の数である。
水素(1)、酸素(2)、鉛(2)である。

分子

原子が2つ以上くっついたもの。
水素分子(H2)、水分子(H2O)など。

分子量

分子量は、分子式の構成される原子の原子量を加算したもの。
ホルムアルデヒドの分子式はHCHOで、炭素、水素、酸素の原子量はそれぞれ12、1、16なので、
分子量M=1+12+1+16=30となる。

共有結合

原子が互いの不対電子を共有して結合した状態。
H2Oの場合、Hの電子1個×2とOの電子2個が結合した状態となる。

イオン

原子において陽子(+)の数=電子(ー)の数のバランスが崩れた状態。
陽子>電子の場合は+の電気を帯びて陽イオン、陽子<電子の場合はーの電気を帯びて陰イオンとなる。
金属が溶液中で電子を放出して陽イオンになろうとする性質をイオン化傾向という。
イオン化傾向の大きな金属は、電子を失いやすく陽イオンになりやすい。従って酸化しやすい。
元素には金属系と非金属系があるが、金属系はイオン化傾向が高く、非金属系は低い。

モル[mol]

物質量の単位。
原子数が6.0×1023個(アボガドロ定数)の状態を1molと定めている。
1molあたりの質量は、原子量(分子量)にgをつけた値である。
標準状態における気体1molあたりの体積は22.4[L]である。

アボガドロ定数

1molを構成する粒子数。(分子・原子・イオンなど)
6.0×1023

熱化学方程式

化学反応式では分子式1個が1molで、先頭の数字がそれぞれの比率を表す。
化学反応で出る発熱量は、右辺の化学反応式の最後に「+XXXJ」で表す。
質量の計算は、化学反応式のmol数分の原子量(分子量)から求める。

例:水素の燃焼の化学反応式

$\displaystyle H_2+\frac{1}{2}O_2=H_2O+286kJ $

  • 水素Hの原子量(1)、酸素Oの原子量(16)
  • 水素H2の分子量(1+1=2)、酸素O2の分子量(16+16=32)、水H2Oの分子量(1+1+16=18)
  • 水素(H2)の質量:1mol=2g(体積は1mol=22.4L)
  • 酸素(O2)の質量:1/2mol×32=16g(体積は1/2mol=11.4L)
  • 水(H2O)の質量:1mol×18=18g

上記の化学反応式は、水素分子1mol(2g)と酸素分子1/2mol(16g)が反応して、水分子1mol(18g)が生成され、286kJの熱が発生することを意味する。

酸とアルカリ

電離して水素イオンHを生じる物質。
金属と反応すると水素を発生する。
味はすっぱい。

アルカリ(塩基)

電離して水酸化物イオンOHを生じる物質。
指がぬるぬるして味はにがい。

pH値

溶液の酸性・アルカリ性の程度を表す物理量。
水中の水素イオンと水酸化物イオンの量により定まる。
水素イオン濃度指数のことで、酸性(0)~中性(7)~アルカリ性(14)で表す。
リトマス試験紙では酸性は赤くなり、アルカリ性は青となる。

酸消費量

水中に含まれる水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などのアルカリ分の量を、炭酸カルシウムの濃度で表すもの。
2種に区別され、pH8.3まで中和した場合の酸消費量をフェノールフタレインアルカリ度、pH4.8までの酸消費量を総アルカリ度と呼ぶ。
酸消費量付与剤には、アルカリ性の水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムが使われる。

全硬度(CaCO3硬度)

水中のカルシウムイオン及びマグネシウムイオンの量を、炭酸カルシウムの量に換算し、[mg/L]で表す。
0~60は軟水、60~120は中程度の軟水、120~180は硬水、180以上は非常な硬水となる。

ファンデルワールス力

分子の周りの電子が瞬間的に偏り、その電荷によって生じる分子間の弱い静電気力。
粒子や塗膜の表面付着力などが該当する。


Ver.1.2.1

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