エアフィルタの種類
空気浄化装置(エアフィルタ)が除去対象とする汚染物質は、一般に粉じんとガスである。
通常の使用条件では、フィルタは一般的な粗じん用フィルタを使用する。
空調機では、一般にユニット型の乾式フィルタが用いられる。
排気系統に含まれる有害物質の外部への放出防止に用いられる場合がある。
静電式と、ろ過式に大別できる。
静電式フィルタ(電気集じん器)
放電線極と集じん板極間に高電圧をかけると、高圧電界(コロナ放電)によってイオンが発生し、イオンにより荷電した粉じんを静電気力により吸引吸着して捕集する。
イオン部に直流電圧10000~20000V、集じん極板に5000~6000Vが荷電されている。
イオン部を通る空気の粉じんは、帯電(ー)され集じん部に送られ、集じん部(+)で2つの極板に粉じんが吸引される。
堆積した粉じんは叩いて落としたり(乾式)、水で流す(湿式)ことで排出される。
1段荷電式と2段荷電式がある。
微細な粉じんまで効率よく捕集でき、圧力損失が少なく省エネルギーである。
ガス状の物資は除去できない。
ろ過式エアフィルタ
さえぎり・慣性・拡散・静電気等の作用で粉じんをろ材繊維(ろ紙、金網、ガラス繊維など)に捕集する。
フィルタ種類が豊富なので粒子捕集率の値の範囲は広い。
適切な時期に交換を行わないと、捕集した粉じんの再飛散を起こす。
HEPAフィルタは、ろ過式折込み型エアフィルタの一種で、有害ガスを物理的吸着で捕集するための専用のフィルタである。
HEPAフィルタやULPAフィルタは、極微細な粉じん粒子(HEPAで0.3µm、ULPAで0.15µm)を高い性能で捕集できるが、圧力損失が大きい。
折込み形エアフィルタは、ろ材通過風速を下げることにより、圧力損失を減らしている。
衝突粘着式フィルタ
ろ材に金網・ナイロン網で三角形に折り曲げたものを使用し、油を含む粘着剤を塗布して付着させる。
圧力損失は少ない。
湿式フィルタともいう。
ガス除去用エアフィルタ(吸着式)
主にガス状汚染物質の吸着除去を目的とする。ケミカルエアフィルタとも呼ばれる。
シリカゲル、活性炭等を用いた吸着剤を使用する。
有害ガスを除去するもので、イオン交換繊維を使用したものもある。
空気を遮らずに、接触面を増やして吸着させるため、圧力損失がほとんどない。
プレフィルタ
中・高性能フィルタや電気集じん機の粗じんを除去するために用いる。
パネル型エアフィルタが使用される。
フィルタの動作の種類
自動洗浄型
上下にドラムがあり、パネルが1日で1回転くらいの速度でモータにより上側に引き上げられる。
パネルに外気が通過するときに粉じんが付着し、パネルが下部の油槽を通ることで付着した粉じんを落とす。これを繰り返す。
自動巻取型
ロール状のろ紙を上部に入れ、下部に巻き取り部分を取り付ける。
タイマや、ろ材の汚れ具合の差圧によって、ろ紙が自動的に巻き取られていく。
ろ材には、合成繊維、ガラス繊維が使用されている。
エアフィルタの性能
エアフィルタの性能は、圧力損失、粉じん捕集率(汚染除去率)、粉じん保持容量(汚染除去容量)で表示される。
中・高性能粒子用エアフィルタの性能試験には、ほとんど光散乱積算法(光をあてて反射する散乱光の強弱により判定する)が用いられる。
フィルタの圧力損失
フィルタを空気が通過するときの抵抗を圧力損失といい、フィルタ通過前の風圧と通過後の風圧の差で、差圧計で測定する。
一般的に、通過風速を遅くして、圧力損失を小さくするため、ろ材をジグザグ状に折り込んでいる。
高性能フィルタの圧力損失は大きくなる。
ガスフィルタは圧力損失がほとんどない。
粉じん捕集率(汚染除去率)
フィルタの粉じんを補足する割合を表し、高いほど性能がよい。
上流側と下流側の粉じん濃度の差を上流側の粉じん濃度で割って表す。
高性能フィルタや電気集じん機では、タバコの煙は80%程度除去できる。
HEPAフィルタなどのケミカル超高性能フィルタは、ガス状の物資など99%以上除去できる。
粉じん捕集率の測定
粉じん捕集率の測定方法は、粉じんの大きさによって3つに分類して行われる。
- 粗じん用フィルタ:重量法(質量法)
重量法は、大きい粒子で試験するため、比色法より数値が大きくなる。 - 中性能フィルタ:比色法
- 高性能フィルタ:計数法(個数法)
粉じん保持容量(汚染除去容量)
一般に圧力損失が初期値の2倍、または最高圧力損失になるまで、粉じん捕集率が規定値の85%に低下するまでに捕集される粉じん量。
フィルタの寿命を示すもので、単位面積当たりの捕集量[g/m2]で表す。
ガス除去容量は、エアフィルタが使用限界に達するまで(85%低下)に捕集したガス質量[kg]で表す。
エアフィルタの保守
フィルタの洗浄
フィルタの洗浄時期は、一般に月に2回程度である。圧力損失が2倍になった時期に行う。
再生フィルタは1~2週間に1度、水道水で洗浄することが望ましい。
水洗いが難しいフィルタは、掃除機で粉じんを吸い取る。
フィルタの交換目安
フィルタ前後の差圧が増えて、給気ダクト内の静圧(風圧)が低くなる。
フィルタは時間の経過とともに目詰まりし、抵抗が増えて送風量が減ってくるので、送風の電動機の電流値が下がる。
室内の粉塵濃度が増える。
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